御嶽山の噴火はなぜ予知できなかったのか。火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は「今回のような水蒸気爆発を予知するのは難しい。突発的に起こるので前兆現象を明確に把握するのは困難」と語った。しかし、今月(2014年9月)に入って火山性地震が活発化し始めて、気象庁は関係自治体に情報提供をしていた。ゲストの東大地震研究所の青木陽介助教は「地震は数週間前から起きていたが、通常のものなのか噴火につながるものか判断が難しい」と話す。
夏の大雨でマグマ周辺に水溜まっていた可能性
名古屋大学の山岡耕春教授は別の見方だ。「地震活動が山頂真下で活発にあり、それが収まりかけたところで、9月に入って低周波の地震がいくつか起きていました。そうしたものを見ると、噴火の可能性が少し高いと読めます。ただ、これだけの規模になるというデータはありませんでした。
1979年10月に起きた前回の噴火と同じ場所、同じ割れ目を伝って噴出しています。地下水が沸騰し、圧力が上がって地表に抜けたということです」
水蒸気爆発の可能性はいつ起きてもおかしくない状態にあったということではないのか。コメンテーターの勝谷誠彦(コラムニスト)がこんな指摘をした。「今夏、南木曽町で豪雨があって、この辺の一帯はものすごい量の雨が降った。その雨が地下に入り、マグマの上により多く溜まった可能性はあるんじゃないですか。それが爆発した」
青木助教も「否定はできないと思う」という。
(中見出し)被害大きくした「登山シーズン」「土・日」「昼どき」
中部山岳ガイド協会の斉藤晃(61)は同じ水蒸気爆発した35年前と比べて、「前回は10月の終わりで登山シーズンは終わっていました。しかも、起きたのは早朝で死傷者はいませんでした。今回は秋の登山シーズンだったこと、土・日が重なったこと、噴火時間も昼時で山頂に登山客が大勢集まっていたことが大災害につながったと思います」と語る。
気象庁、自治体が登山者への情報提供を怠っていたと言われてもやむを得まい。