飽食ニッポンで「1日1食の子どもたち」貧困率過去最悪!おなかいっぱい食べたい

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   グルメ情報があふれ返る同じ日本で、満足な食事をとれない子どもたちが増えている。育ち盛りの栄養不足は健康や発達への影響が懸念される。NHKがNPOと新潟県立大との協力で調査した結果は驚くべきものだった。

   貧困率は過去10年で悪化の一途だ。先月(2014年8月)に発表された数字は16.3%と過去最悪を更新した。40人学級で6~7人が貧困家庭ということである。夏休み明けに体重が減っている子どもが少なくないという。日々の栄養を学校給食に頼っていて、給食のない夏休みは食事を満足にとっていないのだ。

   山梨のNPO「フードバンク山梨」は、企業や農家の寄贈で食品を貧困家庭に配っている。6年で約1000世帯を支援した。支援対象の4割が子どものいる世帯で、その269世帯の実態を調査した。

「お年玉を回収しておコメを買ったこともある」

   澤村さん(仮名)は7~17歳の4人の子どもをもつ母子家庭だ。収入はパートが10万円と児童扶養手当8万円しかない。生活保護を下回るが、保護は受けていない。家賃など固定支出が14万円なので食費は最大4万円しかない。

   頼みの綱はNPOが2週間に1度送ってくれるコメ6キロだ。浮いたお金で野菜などが買える。しかし、「お年玉を回収しておコメを買ったこともある」(15歳の次男)。17歳の長男は中学から不登校だ。友だちがファストフードを買っても、自分は買えない。「うらやましくて、自分が情けなくて、惨めでした」と語る。

   NHKの調査では、子ども1人当たり1日の食費は329円、300円未満が半数近かった。1食100円では、内容もコメだけ、麺だけとか、栄養のバランスどころではない。貧血で倒れたなどの健康面だけでなく、学校生活や友人関係にまで影響していた。「衝撃でした。社会がもっと力を尽くさないと」とNPO代表は話す。

   神奈川県立保健福祉大の新保幸男教授は「友だちと同じにできないと、子どもは自己肯定感を下げてしまうんです。なぜ自分だけ人より劣っているのかと...。これが深刻な問題です」という。

   政府は先月、子どもの貧困対策大綱を閣議決定した。支援の柱は4つ。教育、生活、保護者の就労、経済である。対策会議の座長代理でもある新保教授は「学びの前提条件である食べることの支援をもっと具体的に制度化する必要があります」と語る。

自治体が給食無料化や「子ども食堂」―アベノミクスは実態気付いているか!

   栃木県大田原市は2年前から小中学校の給食を無料化した。6000人分2億7000万円の予算化に、議会からは「低所得者には就学援助がある」などと慎重論が出たが、津久井富雄市長は「しっかりとした子どもをつくっていく地域でありたい」と押し切った。大英断だった。

   地域住民が支援に立ち上がったのが東京・豊島区だ。NPOが毎月2回、だれでも参加できる食堂を開いている。食材は寄付と助成でまかなう。調理は地域の 主婦のボランティアで行い、子どもは手伝いをすればいい。みんなで作って、食卓を囲んで、腹いっぱい食べられる。「心にも栄養になる」とNPO代表はいう。

   ここに通ってくる12歳のみきさん(仮名)は小学校2年生で学校へいけなくなった。母子家庭をからかわれてひきこもりになったのだ。母親はパートで働くが食事は1日1食。「つらくて、悲しくて、ママはやつれて、苦しかった」と話す。

   子ども食堂と出合って変わった。食事の楽しさ、友だち、地域とのつながりを知った。明るく料理を手伝う。「友だちと遊ぶのが楽しいです。前は暗かった」。彼女はいま、新たな目標をみつけ学校へ通い始めている。

   新保教授「あれだけ変わるんですね。こういうのがあちこちにできるといい。食はすべての根っこです。大綱を受けてこれから自治体がいろいろ計画を作ります。その中で食についてもっと踏み込んでほしいですね」

   貧困の連鎖がいわれる。母子家庭や非正規雇用の増加が原因だが、しわ寄せは子どもにくる。幼いころの栄養不良は、間違いなくこれを加速させるだろう。アベノミクスはこれに気づいているだろうか。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2014年9月25日放送「おなかいっぱい食べたい~緊急調査・子どもの貧困~」)

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