自治体が給食無料化や「子ども食堂」―アベノミクスは実態気付いているか!
栃木県大田原市は2年前から小中学校の給食を無料化した。6000人分2億7000万円の予算化に、議会からは「低所得者には就学援助がある」などと慎重論が出たが、津久井富雄市長は「しっかりとした子どもをつくっていく地域でありたい」と押し切った。大英断だった。
地域住民が支援に立ち上がったのが東京・豊島区だ。NPOが毎月2回、だれでも参加できる食堂を開いている。食材は寄付と助成でまかなう。調理は地域の 主婦のボランティアで行い、子どもは手伝いをすればいい。みんなで作って、食卓を囲んで、腹いっぱい食べられる。「心にも栄養になる」とNPO代表はいう。
ここに通ってくる12歳のみきさん(仮名)は小学校2年生で学校へいけなくなった。母子家庭をからかわれてひきこもりになったのだ。母親はパートで働くが食事は1日1食。「つらくて、悲しくて、ママはやつれて、苦しかった」と話す。
子ども食堂と出合って変わった。食事の楽しさ、友だち、地域とのつながりを知った。明るく料理を手伝う。「友だちと遊ぶのが楽しいです。前は暗かった」。彼女はいま、新たな目標をみつけ学校へ通い始めている。
新保教授「あれだけ変わるんですね。こういうのがあちこちにできるといい。食はすべての根っこです。大綱を受けてこれから自治体がいろいろ計画を作ります。その中で食についてもっと踏み込んでほしいですね」
貧困の連鎖がいわれる。母子家庭や非正規雇用の増加が原因だが、しわ寄せは子どもにくる。幼いころの栄養不良は、間違いなくこれを加速させるだろう。アベノミクスはこれに気づいているだろうか。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2014年9月25日放送「おなかいっぱい食べたい~緊急調査・子どもの貧困~」)