普天間基地移転などではない「辺野古巨大米軍基地建設」また戦争に巻き込まれる
『サンデー毎日』にジャーナリスト吉田敏弘氏による「緊迫の度を増す『辺野古』ルポ」が載っている。私は常々、沖縄の今を伝える情報が新聞も週刊誌も少なすぎると怒りを覚えているため、こういう記事にすぐ反応してしまう。沖縄は日本である。こんな当たり前のことを本土に住んでいる人間は忘れているのではないか。沖縄の怒りを我がものとする。沖縄が変われば日本が変わるのだ。
8月18日から沖縄県名護市の辺野古で、米軍普天間飛行場の移設に向けた海底ボーリング調査が続いていると吉田氏は書き始める。しかし、沖縄の新基地反対への民意は根強い。こんな光景が日々見られるという。
<「海を壊すな!」「ボーリング調査をやめて!」
口々に叫ぶのは、県内外から来てカヌーやモーターボートに乗り、新基地反対の抗議活動をする市民たちだ。しかし、海面に張りめぐらされた警戒区域の浮具に近づくと、ヘルメットにウェットスーツ姿の海上保安官らを乗せた黒いゴムボートが全速力で白波を立てて集まり、行く手を阻む。拡声器で立入禁止を警告し、退去を迫る。
安倍政権は抗議活動を閉め出すため、埋め立て予定の米海兵隊基地キャンプ・シュワブ沖に「臨時制限区域」を設定。基地内の海岸から50メートルだった常時立入禁止水域を、最大で沖合約3・3キロまで広げ、米軍の施設・区域への侵入を取り締まる刑事特別法も適用するとした。海上保安庁は巡視船やゴムボートを全国から動員し、浮具の内外で連日、海上保安官らが海に飛び込み、カヌー操船者を引きずり出すなどして拘束している>(吉田氏)
取材する吉田氏の目の前でも3人が拘束され、約40分後に解放されたという。
新基地は単なる代替施設ではない。<V字形の滑走路2本、垂直離着陸輸送機オスプレイと装甲車と兵員を運ぶ強襲揚陸艦なども接岸可能な岩壁、弾薬搭載施設などを備えた巨大基地だ。普天間飛行場移設とは、基地の負担軽減に名を借りた基地の新鋭化・強化に他ならない>(吉田氏)
しかも耐用年数は200年といわれているそうである。
沖縄では強硬な安倍政権への怒りが県知事選(11月16日投開票)に向けて高まっている。<前回の知事選で、普天間飛行場の県外移設を公約にして当選しながら、埋め立てを承認した仲井真知事の行為を、「沖縄振興予算のカネと引き換えに、沖縄の心を売った裏切り」と見る県民感情は浸透しており、自民党の独自調査でも仲井真氏苦戦が予想されている。
安倍政権のボーリング調査強行は、知事選の前に埋め立てに向けた既成事実づくりのイメージを広め、新基地反対の県民をあきらめさせ、翁長(おなが=筆者注)新知事が誕生した場合でも、新基地建設は後戻りできないと思わせるのが狙いだろう>(吉田氏)
元県議会議長で元自民党県連顧問の仲里利信さん(77)はこう語っている。<「安倍政権は軍拡路線に走り、尖閣諸島を巡って中国と対立を深め、沖縄で自衛隊増強も進めています。新基地ができれば自衛隊も使用し、米軍とともに沖縄を永久的に軍事要塞化するでしょう。沖縄が戦争に巻き込まれ、かつての沖縄戦のように本土防衛の捨て石にされる危険も高まる。しかし、それでは子や孫に申し訳が立たない。今回の知事選は、沖縄の将来を決する重大な選挙なのです」>