地方議員は本当に必要なのか!?政務活動費、会議費デタラメ使途―行政チェックそっちのけで税金食い

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   乗車していない運賃の請求をするなど不正請求を繰り返し号泣でごまかそうとした兵庫県議、自らのセクハラ野次を他の議員のせいにしてウソをついた東京都議...地方議会議員の資質が問われる事態が相次いでいる。なかでも政策立案に役立てる狙いで設けられた政務活動費は野放し状態で、夫婦の観光旅行に使われるなど不明朗な使途が広がっている。

   行政を監視し民意を吸い上げて政策の実現に努力するという理念はどこかに消え、現実とのギャップから「議会はいらない」「行政のチェックは町内会長がやればいい」と地元有権者からそっぽを向かれ始めた。統一地方選のあった平成19年と23年を比べると、無投票は2倍に増えており、地方議会の存在意義すら問われる事態になっている。民意を反映する最も身近な場である地方議会が本来求められている機能を果たすには何が必要か。

地方への権限移譲でルーズになった公金支出

   地方のことは地方で決めたいという地方分権の流れの中で、2000年に国から地方へ大きく権限が委譲されたが、地方議員への公金の支出がルーズとなり、政務活動費は不明朗な支出の象徴的な存在になっている。

   政務活動費の当初の使い道は政策立案のための調査・研究に限られていた。しかし、地方議会側の要請でおととし(2012年)に法律が改正され、国への要望・陳情活動、地域住民との相談会などに範囲が広げられた。その額は、都道府県議会だけで年間120億円にのぼり、議員報酬とは別に各議員に支払われている。「クローズアップ現代」は政務活動費が議員の別途収入化している実態を取材した。

   兵庫県で県議会の政務活動費の実態調査を進めている「市民オンブズマン兵庫」によると、政務活動費は年度ごとに前払いで支払われ、余った分は返還が義務づけられている。金額は議員一人当たり年間600万円。ベテランサラリーマンの年収分に当たる。

   ところが、議員の中にはいつでも換金できる切手を年度末に160万円分購入するなどの手口で不透明な支出を繰り返し、全額を使い切っている実態が明らかになった。また、ある議員から提出された日付の違う領収書を重ねると、字体やただし書きの部分が全く同じで、領収書をコピーして使い回しにした疑いも出ている。

   さらに、別の議員は調査研究の名目で熊本や長崎などの観光地を妻と同伴で旅行し、訪れた天草資料館で400人目の入場者となり記念品を受け取って、地元の広報誌に「いい思い出になった」とコメントを載せていたのがバレた。オンブズマン兵庫の代表者は「兵庫県の県政とどういう関係があるのか、ひどい状況だ」と嘆いている。

海水浴場開き、カラオケ大会も「会議・会合」

   不明朗な支出は政務活動費だけでない。政治資金の問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「もう一つ、会議費があります」と指摘する。岩井教授によると、これまで議会主催の会合に限られていた会議費の支出が、法改正で各種団体が主催する会合にも支出できるようになった。この結果、多くの議会で「新年会や忘年会にも大手を振るって公金を支出でき、不明朗な支出の温床になっているのです」

   香川県議会では法改正後にこの会議費支出が3倍近くに増加している。領収書を調べると、県政に関する住民との意見交換会の名目で、海水浴場の海開きや年末のカラオケ大会などに支出していた。最も多かった県議1日に19件の会合に出席したことになっていて、1年間で180件に及んでいた。これでは自分の選挙運動に会議費を流用しているとみられても仕方がない。

   三重県知事の経験のある早稲田大大学院の北川正恭教授はこう話す。「議員には3つの責任があります。一つは法的に説明できないといけない。二つ目は同意的責任。もう一つは議会活動費としての説明責任を堂々と果たせるか。市民の目線に合わせてこの3つの責任を果たせないとこの問題は解消しないと思います」

   国谷裕子キャスター「不適切な支出をなくすにはどうすればいいですか」

   北川教授「まずは情報公開して、1円から説明責任を果たせるような会計処理上の問題ともう一つは活動の内容。たとえば、視察に何の目的で行ったのか、目的を達成して成果を県政や市制にどのように反映することができたか、紙だけでなくネットにも載せて、いつでも誰でも見られるシステムをつくる。これを契機に早く作るべきだと思います」

   消費増税で来年度から10%になれば、市民の生活を圧迫するのは必至だ。不正支出を放置したままでは、潤うのは存在意義すら問われている地方議会の議員ばかりということになりかねない。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2014年9月24日放送「揺れる地方議会 いま何が起きているのか」)

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