「円安物価高」で霞が関が目論む庶民半殺し―1ドル200円になれば国の借金半減
9月19日に株価が1万6000円を超え、6年10か月ぶりの高値を付けたと騒いでいるが、それより速いスピードで円安が進んでいる。20日には109円台前半(NY外為)にまでなり、このままでは120円も近いといわれている。週刊ポストと週刊現代がともに「アベノミクス不況」について取り上げている。
週刊ポストによれば、安倍首相と黒田日銀総裁は円安へ誘導するため「口先介入」を繰り返しているという。9月4日に黒田総裁は「円安が日本経済にとって好ましくないとは思わない」と発言し、11日に安倍首相と会談した後にも、2%の物価目標達成が困難になれば、「躊躇なく追加の金融緩和を行う」と話している。その「甲斐」あって株価は少し上がったが、官邸筋は消費税を10%に引き上げるには1万7000円を超える必要があるといっているそうである。
しかし、急激な円安によって国民の生活はどんどん苦しくなってきているのだ。日本総合研究所調査部首席研究員の藻谷浩介氏は、「安倍政権下の2年弱で、円相場はドルに対して2割強下落した。つまり輸入品価格が20数%上昇したことを意味する」と指摘している。電気代をはじめ、食料品から衣料品まで値上げラッシュである。したがって、実質賃金は1年以上にわたって下がり続けているのだ。これほどの賃金減が続いたのはリーマン・ショック前後の19か月連続以来だそうだ。賃金減、生活コスト高で国民生活は25年前に戻ってしまったという。
だいたい、自国の通貨の価値が下がっていることを喜んでいる政府首脳がいること自体おかしなことだが、それに安倍首相や黒田総裁は気付いていないのではないか。おかげで、ドル建てGDPで2010年に中国に逆転されたが、安倍政権下でとうとう中国の5割以下に縮んでしまったという。つまり、「日本は中国の半分以下の経済規模しかない国」に成り下がってしまったのである。週刊ポストはこんな国は世界から相手にされなくなっていくだろうと嘆息している。
『週刊現代』の座談会で経営コンサルタントの鈴木貴博氏がスーパーのイオンの業績をこういっている。<「直近の3-5月期決算で、純利益が前年同期比で9割も減りましたね」>
日本の場合、食卓で輸入食品の占める割合は7割になるというから、円安の影響は計り知れない。経済アナリストの中原圭介氏がこう切り捨てる。<「アベノミクスというのは円安で輸出が伸びれば設備投資が増えて、ひいてはわれわれの所得が上がるということを喧伝していましたが、これはデタラメだということです」>
鈴木氏は霞ヶ関の官僚たちはこんな悪巧みを考えているのではないかという。<「そうしたことは頭のいい財務官僚などはとっくにわかっていると思うのです。それなのに、円安に誘導しようとするのはなぜかと考えると、彼らは1ドル=200円ぐらいまで持っていきながら、物価を年率3~5%上げていき、最終的に物価を倍くらいにしようとしているのではないでしょうか。そうなれば、日本の借金の価値が半分になるわけですから」>
こんな恐ろしいシナリオが実現したら貧困層は死ねといっているのも同じである。安倍への怨みは七代祟るぞ。