第二次安倍政権初の内閣改造についてあれこれと週刊誌が論評している。『週刊新潮』は「後援者が警視庁で斃れて消えた『松島みどり法相』の選挙違反疑惑」「『山谷えり子国家公安委員長』と縁浅からぬ『統一教会』」「『有村治子女性活躍相』の結婚相手は中国系マレーシア人」とあるが、致命傷になるスキャンダルではないようだ。
興味深いのは、今回の大臣は、安倍首相が成蹊大学だからというわけではないだろうが、東大出身は2人しかいないというのだ。新たに入閣した12人の大臣と前任者を比べるとこうなると政治ジャーナリストがいっている。
<「経産大臣は東大(茂木敏充氏)から成城大(小渕優子氏)、農水大臣も東大(林芳正氏)から東京農工大(西川公也氏)といった具合に東大卒業者が減っています」>
その他にも江渡聡徳防衛相が日大、山谷えり子拉致担当相が聖心女子大である。東大出身者の閣僚は麻生内閣5人、鳩山内閣7人、菅内閣6人、野田内閣3人だった。週刊新潮らしく、入れ替わった大臣たちの大学の偏差値を比べている。平均偏差値は改造前が「64.58」で改造後は「63.08」と落ちている。偏差値で人間の価値が計れるわけではない。だが少し心配ではある。
河野太郎氏のメルマガにこんなことが書いてあったので紹介しよう。「今回の内閣改造に関しては、誰が入閣しそうなのかメディアが競って報道しました。そしてなかでもNHKの情報は正確だという評判でした。(中略)
閣僚の人事を決めるのは総理です。だとすれば人事情報の出どころは官邸しかありません。官邸から情報を取れるということは、それだけ官邸との関係が深いことになります。そんなメディアがきちんと官邸を批判することができるでしょうか」
NHK、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞が官邸との距離の近さを競うなかで、朝日新聞がしばらく低迷することは間違いないから、毎日新聞と東京新聞に期待するしかないのだろうか。
中小企業のおっさんの言い訳のようだった朝日新聞社長「渋々謝罪会見」
ようやく朝日新聞の木村伊量社長が謝罪会見を開いた。東京電力・吉田昌郎氏の調書を掲載した際、「命令違反で9割が撤退」としたことは誤りだったと認め、従軍慰安婦についての吉田証言についても、虚偽だとわかっていながら撤回が遅れたことを謝罪した。
遅きに失した感は否めないが、そこまで朝日新聞は追い込まれたということであろう。私はNHKの「ニュースウオッチ9」とテレビ朝日系の「報道ステーション」で会見を見たが、第一印象は「これが朝日文化人の頂点に立つ人物か」というものだった。まるで中小企業のおっさんが(朝日新聞も規模としては中規模会社ではあるが)偽装問題で渋々謝罪を行っているようにしか見えなかった。
いや、自分が育ててきた会社の存立を賭けた会見ならもっと真剣に臨むはずだが、木村社長にも横にいた杉浦信之編集担当取締役にも、この重大な『誤報事件』が朝日新聞にとってどれほど大きなダメージを与え、この会見いかんでは朝日新聞の存亡にかかわるという危機感が感じられなかったのは「遺憾」であった。
それは池上彰氏の連載コラム掲載見合わせの判断をしたとき、「言論の自由の封殺であるという思いもよらぬ批判があった」という言葉に如実に表れている。自社の見解と違うことを書いた社外の人間の原稿を検閲して掲載拒否することがメディアにとっての自殺行為だということを、このトップはわからなかったというのである。この一事をもってしても、この人はメディアの上にいる人間ではない。
辞任することを示唆したが、早くお辞めになったほうがいい。