「越冬卵」で来年再び流行の心配ないか?
国立感染症研究所ウイルス第一部第2室の高崎智彦室長はこう話す。「海外渡航者が渡航先で感染し、帰国後に発症するケースが年間200例あり、こういう事態は予想していましが、せいぜい自宅に帰って庭先か周辺の公園であるかなぐらいに想像していました。大きな公園で起こるとは予想していませんでした」
国谷裕子キャスター「心配なのは今の感染がいつまで続くのか、来年もまた起きるのかということですが...」
高崎室長「秋の気温にもよりますが、11月下旬には蚊の成虫は死滅します。その前に人の血を吸って産卵するわけですが、タマゴの中でウイルスが生きているのか。実験的には生きた例はありますが、自然界では極めて低いと思います。
今後は外から入ってくるのを止めるのと、入ってしまった後の自治体や医療機関などの連携をスピードアップすることが課題になります。埼玉の10代の女性は公園の2か所で蚊に刺されたといっていたが、都の職員は埼玉に出掛けてしっかり聞き取る必要がありました」
最後まで残った疑問は、海外渡航者によって持ち込まれているデングウイルスによる発症が最近は年間200例もあるのに、なぜ医療機関や自治体の対応が不十分のままだったのか。ワクチンも特効薬もないことから解熱剤と鎮痛剤で自然治癒に任せていたとしたらお粗末だ。観光客の誘致に力を入れ、6年後には東京五輪もあり海外からの渡航客が増えてくる。お粗末な体制のままでは済まされない。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年9月10日放送「デング熱 感染拡大を防げ」)