安倍首相ブレーンも主張する「消費税10%でますます消費は減退、実質賃金のマイナス拡大」
その朝日新聞9月7日付の「政治断簡」におもしろい川柳が永田町で流行っていると書いてある。
「石破氏を たたいて渡る 安倍総理」
石破氏には耳の痛い戯れ唄であろう。安倍首相は消費税10%増税に前向きのようだが、意外な人物が反対の声を上げたと『週刊現代』が報じている。それは本田悦朗内閣官房参与である。78年に東大法学部を卒業して大蔵省に入省。世界銀行金融セクタースペシャリスト、在ニューヨーク日本国総領事財務部長などを経て第二次安倍内閣が発足した12年から現職である。安倍首相とは旧知の仲で「ブレーン」と見られている。
<「私が増税前に想定していた中でも最悪のケースです。そう言っても過言ではないほど、4月に消費税を8%に上げて以降の日本経済は、厳しい状況にあります。
4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は、前年の同期と比較して年率に換算するとマイナス6.8%。内需、消費、投資、住宅投資、どの数字も軒並みマイナスです。特に消費についての数値は、統計を取り始めてから最大の下げ幅と言われるくらいの激しい落ち込みを見せています。(中略)
増税前は景気が徐々に回復していて、賃金も上がっていたはず。それなのになぜ、実質賃金がマイナスだったのか。それはデフレ脱却のために、賃上げよりもはるかに速いスピードで、物価上昇が進んでいたからです。(中略)
国民が増税のショックに苦しんでいる現状があるのに、さらに10%まで上げる。10%はキリの良い数字ですから、1万円なら1000円と、すぐに計算できてしまう。その分、与える圧迫感は8%よりはるかに高いと、私は想像しています。そうなればますます消費は減退し、実質賃金のマイナスも拡大するでしょう。(中略)
消費増税を進めたい人の中には『増税は12年の3党合意で決まったことなのだから、粛々と行うべきだ』と主張する人もいる。しかし、3党合意した当時は、アベノミクスの『ア』の字もなかったのであり、増税とアベノミクスというふたつの政策には、何ら整合性がありません。むしろ、矛盾していると言えます。車にたとえるなら、アクセルを全開にしながら、ブレーキを踏んでいるようなものです。(中略)
アベノミクスには日本の未来がかかっている。だからこそ、消費増税で景気の腰を折ることは、絶対に避けなくてはなりません」>
週刊現代のインタビューに答えたクルーグマンは「日本経済は消費税10%で完全に終わります」と断言していた。株価は勢いを失い円安で輸入品の価格は上がり、少しばかりの賃上げでは焼け石に水の状態だ。もはやアベノミクスは失敗したといってもいいのではないか。
驕れる安倍首相は久しからず。崩壊するのは意外に早いかもしれない。