「朝日新聞」文春、新潮より手ごわい身内『AERA』名物記者「慰安婦記事の真相を記録に残す」
今週も週刊文春、週刊新潮は朝日新聞批判をメインに据え「朝日新聞は死んだ」と大騒ぎである。内容に新味はないが、週刊文春の『AERA』の名物記者が「朝日をやめて慰安婦記事を検証」するという記事が気になり読んでみた。
長谷川煕(ひろし)さん、御年81歳の現役記者。朝日新聞に入り、AERAが創刊された88年に移り、以来、鉛筆で一文字一文字原稿用紙に刻みつけるように書き続けてきたという。定年を過ぎているから、フリーの立場で数々のスクープをものにしてきたが、この8月末に会社を去った。その真意をこう本人が語る。
<「八月五日の慰安婦検証記事を見て、驚いたんです。(中略)これはまったく検証になっていない。実相と相当かけ離れていると思いました。十五階の社長室を訪ねて木村伊量社長に聞くべきか。(中略)しかし最終的には、これは人にどうこういうより、記者として自ら取材して真相を明らかにし、記録に残すべきだと思い至った」>
彼をここまで決意させたのはAERA編集部で長谷川氏の真向かいに座っていたXという男(故人)だった。Xが電話でひそひそ話しているところを何度も見たという。その相手が慰安婦を強制的に連れ出したと証言した吉田清治氏だった。Xは「(吉田のような人は)世間の圧力が強くなると日和ってしまう」とか「違うことを言い出す」といっていたそうだ。
このXは大阪本社に戻り、企画報道室長や論説副主幹になり、吉田証言を繰り返し重用する中心人物になっていったという。長谷川氏は続ける。<「朝日新聞、特に大阪本社と吉田清治氏とは、どこからどうやって繋がりが芽生え、どんな関係が続いたのか。それこそがこの問題の核心のはずです。ところが、先般の検証記事はそこにまったく触れていない。私は、Xが吉田証言の怪しさを分かっていながら、証言を覆さないよう背中を押し、途中からは吉田氏と捏造の共謀関係にすらあるのではないかという疑いをもっています」>
その解明にこれから取り組むというのである。朝日新聞にとって手強い相手が社内から出てきたようである。
週刊新潮ではその吉田氏の長男がこう話している。<「朝日は記事を撤回するなら、せめて父の生きているうちにして欲しかった。もちろん、第一に父が悪いのはわかっていますが、父にだってなにかしらの言い分があったかもしれない。
これでは、朝日の都合で祭り上げられ、そして朝日の都合で切り捨てられたようなものです。もし、朝日に関わらなければ、父も私も違う人生があったはずなのです」>
この言葉はメディアに携わる人間すべてが心して聞くべきものである。