テニスの全米オープン男子シングルス決勝は日本時間のけさ9日(2014年9月)午前6時から行われ、錦織圭選手(24)は善戦したものの、クロアチアのマリン.チリッチ選手(25)に3―0のストレートで破れた。この日の錦織は粘りが見られずタイブレークされるなど、さすがに疲れが見えた。
「自分のテニスができなかった。トロフィーとれなくて申し訳ない」
試合は一方的といっていいほどの展開になった。198センチの長身から繰り出す220キロを超えるチリッチのサーブに錦織は手が出ない。現地のリポーターが「なにしろサーブがすごくて」という通り、フェデラーをストレートで下した勢いのままだった。
錦織はこれまでに見せた粘りを発揮する場がない。手も出せないサービスエースの連続に、会場からは「大人と子ども」という声まで聞かれたという。身長差からの印象だったのかもしれないが、随所で見せた錦織のワザに拍手は大きかったが、流れは変えられなかった。
村上武資氏(ロンドン五輪監督)は「得意のバックハンドを完全に封じられた」と戦略面での負けが大きかったという。「錦織がどうというより、チリッチが素晴らしかった。ミスがなかった」
試合後のインタビューが入ってきた。錦織は英語で「マリンはいい試合をしていた。自分のテニスができなかった。マリンとチームにおめでとうといいたい。この2週間がんばってくれたボクのチームに感謝したい。ソーリー…」と言葉を切ると、拍手が沸いた。マイケル・チャン・コーチも拍手していた。「…トロフィーがとれなくて。でも次はとりたい。楽しい2週間だった。来年も戻ってきたい」と結んだ。スポンサーや主催者への感謝も忘れなかった。やっぱり錦織はすばらしい。
出身地・松江で「モーニングバード!」中継はじまった途端にゲームセット
錦織の出身地・松江ではパブリックビュー会場から岡安弥生レポーターがしゃべりだした午前8時3分、「ああ、試合が終わってしまいましたぁ。残念な結果になってしまいました」
司会の羽鳥慎一も「100年に1回という出来事がリアルタイムで起きている。ここへ来るだけでもすごいですからね」というしかない。
赤江珠緒キャスター「でも残念ですね」
そう、それしかない。いくら理屈をつけても完敗は完敗だ。試合が終わって、ネットに歩み寄った2人が握手を交わした。あらためてその身長差に驚く。錦織は178センチだから日本人としては大きい方だが、チリッチはさらに20センチも高い。
ニューヨークの横地明子記者は「試合が終わったとたん、会場はため息に包まれました。日本人が多かったですが、錦織選手が押されていくにつれ声も少なくなり、それでも『あきらめるな』と声援が飛んでいました。この2週間、いい夢を見させてもらったという人は多かったですね」と伝えた。
錦織は29日、楽天ジャパンオープン(東京・有明)に出場する。