広島・呉市は学校給食に減塩目標「少しずつ減らして薄味に慣れよう」
日本でも一部食品メーカーが減塩食品の製造に踏み切ってはいる。だが、味が落ちるのを補うために添加物を加えるなどコストがかかり、市販品より割高で売れ行きもいまひとつだ。消費者も低カロリー食品には目がいくが、減塩商品にはなかなかという。
佐々木敏・東大大学院教授はその理由をこう話す。「減塩に緊急性を感じていないからです。多くの人は高血圧になってから減塩を考えますが、まったく違います」
人間の血圧は20歳くらいから直線的に高くなるものだが、減塩によって上昇をゆるやかにすることができる。「人間が必要とする塩分は1日 3グラム。5グラムで止めれば高血圧にほとんどならないのではないか」とまでいう。さらに「命を支えるのは医療だと考えがちですが、それは病気になってからのこと。毎日の食品で段階的にゆっくり、これが減塩の健康効果のカギです。食品産業だからできる」と期待をこめた。
いま注目は広島・呉市だ。学校給食で減塩目標を立てている。2011年で1食3.1グラムだったものを2.3グラムにしようと、さまざまな工夫を凝らす。毎年0.2グラムづつ減らして、目標はもうすぐだ。子どもたちはいまや「給食の方が味がいい」という。「それで家庭の方の味が薄くなっていったらいい」と市の担当者がいっていた。なるほど考えたもんだ。
本当に人は薄味に慣れるものなのか。だったら早いとこ気づかないように減らしてもらいたいもんだ。この際、美味しんぼは放っておこう。あいつらがくると話がややこしくなる。
*NHKクローズアップ現代(2014年9月4日放送「道は険しい?『減塩社会』への挑戦」)