「JKビジネス」買春に引き込まれる女子高生「割のいいアルバイト」感覚

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   昼は学校に通う普通の高校生、学校が終わると制服姿で街角に立ち客を引く。売春の温床になっているといわれる女子高生の「JKビジネス」が全国に広がっている。お散歩、占い、お茶、カラオケの名目で15~18歳の女子高生がさまざまなサービスをし、最終的には強要されるまま売春を行う。

   アメリカ国務省からは「Joshi-kosei-osanpoビジネスは児童買春に繋がっている」と警告される始末だ。たしかに、日本の社会は性問題に寛容すぎる面がある。なぜ女子高生は売春が疑われる奇妙なビジネスに手を染めるのか。

昼間は毎日学校に通い、終わると業者が用意した制服に着替えて街角へ

   映画に出てくる盛り場の片隅にひっそりと立ち客を引く夜の女は、人目をはばかりどこか物憂げな表情で哀れを誘うイメージがある。ところが、それは今は昔。日本の大都会で進行中の現実はまったく違うらしい。売春を疑われながら堂々と制服姿で客を引く姿を国谷裕子キャスターはこう訴えた。

「人の目をはばからず堂々と制服姿の少女が街で客引きをする光景はとても異様です。その姿は、性的サービスを売り物にしている未成年の少女たちについて実質的に社会が容認していることを映し出しているのではないでしょうか」

   「クローズアップ現代」はJKビジネスで働く女子高生20人余りから話を聞いた。浮かび上がってきたのは、「散歩するだけで風俗ではない」という業者の誘いに、「割の良いアルバイト」の感覚で始めたものの、客の求めに応じ性的サービスで安易にお金を得ることを覚え売春に至る実態だった。

   東京・秋葉原の街角で客引きをする高校3年生のあやこ(仮名18)は、2年前にJKビジネスに足を踏み入れた。昼間は毎日学校に通い、終わると業者が用意した制服に着替えて街に立って声を掛けてくる男性を待つ。料金は1時間8000円で店と折半だという。

   女子高生がメモした仕事の中身は、ハグ1分1000円、添い寝5分1500円、逆リフレ1分3000円、足げり1回500円、足ふみ5分1000円、ビンタ2回500円、ひざまくら5分2000円…。わけのわからない奇妙な商売だが、客は5分の添い寝で終わるわけはない。多くは性的サービスを求めてくるという。あやこは売春を断っているが、「添い寝をしていると客が興奮し服を脱げと強要された」こともある。それでも続けるのは、母親のパートで生計を立てる家族を支えるためで、月5万円を渡している。親には仕事の中身は話していない。

   売春を受け入れていた女子高生もいる。みほ(仮名17)は最初はお散歩のつもりが、孤独感から客に求められるまま売春をするようになった。中学時代に教師とのトラブルで学校を休みがちになり、両親ともうまくいかなくなって学校にも家にも居場所がなくなったのがきっかけだった。いまは「自分がどんどん汚くなくなっていくと思い、後悔している」と話す。

ネットで売春持ち掛け「「高2女子です。お小遣い稼がせてほしいな…」

   インターネットでは少女が直接売春を持ちかけるこんな書き込みで溢れている。「別1でどうですか。今日の夜、えんできる方いらっしゃいませんか」「高2女子です。お小遣い稼がせてほしいな…」。別1はホテル代別で1万円という意味である。

   警察庁はネット上に氾濫する女子高生の売春に対し補導を強化している。客のふりをして少女と落ち合う約束を交わし補導する「サイバー補導」だ。この半年間で補導した少女は全国で220人に及び、大半は補導歴のない少女たちだった。捜査員は「補導は氷山の一角。スマホの普及で裾野が広がっている」という。

   性的サービスを売る少女たちと買う男性を結ぶ役の業者の摘発については進んでいない。お散歩などと誘って外で行われている売春は関知していないと言い逃れられると摘発は難しいのだ。

   かつてJKビジネスに関わっていた元業者は「家庭や学校で理解してくれる人がいないといった事情のある少女は扱いやすい。女子高生という言葉だけで価値があり、需要と供給から今後もっと価値は大きくなる」とうそぶいている。

   ソーシャルワーカーの宮本節子氏はこう話す。「男性の性的要求にこたえる巨大なシステムが仕上がっているんです。しかも、そのシステムにブレーキを掛ける仕組みがほとんどないという非常に恐ろしい社会が展開されています。

   少女売春となっていますが、本質は少女買春です。密室で行われているので、拒否できない女の子もいます、暴力を振るわれても被害を認識できないし、訴えることもできない。その時のキズを30、40、50代になってもまだ持ち続け、引きずっていく人が結構いますね」

   女性の社会進出が声高に叫ばれているなか、女子高生の中で増えている最初の社会進出が得体の知れないJKビジネス、売春という皮肉は笑うこともできない。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2014年9月3日放送「広がる少女売春~『JKビジネス』の闇~」)

文   モンブラン
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