年間1000万人を超える外国人観光客は日本の何に驚き、何に感動するのか。リポーターの阿部祐二が成田空港で、夏のバカンスを終えて帰国の途につく外人観光客に聞いた。
2週間の休みを取ってやって来たオーストラリアの若いカップルは、「2日前に富士山に登ってご来光を見ました。景色はよかったが、思ったよい寒くてすぐ下山してしまったよ」という。ご来光の写真を見せたが、寒さで手が震えたいたのか、太陽の光で輝き始めた雲の線が斜めだった。
「クルーズ船に忘れたカメラを届けてくれた。ウチの国ではありえない」
イスラエルからの35歳の女性は「京都・金閣寺の庭園に感動した」という。停戦合意したとはいえ、まだ戦争の余韻がくすぶるイスラエルからでは、あの静謐な庭園の印象は心に残ったことだろう。
京都に住む友人に会いに来たというパキスタンの48歳の主婦は、陶器が好きらしく「四国・四万十の店で買った」という茶碗や皿を大事そうに見せてくれた。茶碗に貼ってあった値札には30円とあった。
南アフリカから来た20代後半のカップルは2週間のクルージングで横浜から北海道―青森―東京を満喫した。ところが、船を降りるときにカメラを船内に忘れてしまった。船に電話するともちろん見つかり、スタッフが届けてくれたという。「南アではあり得ない。とくに電子製品は絶対に出てこない。戻ってこなかったら旅の写真ぜんぶを失っていました」と感激していた。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト