米国の特殊部隊SWATが通報を受けて現場に踏み込んだ。銃を構えた隊員から「手を上げろ」「床に伏せろ」と鋭い声が飛ぶ。しかし、犯人もテロリストもいない。
「スワッティング」とよばれる遊びがいま全米ではやっている。偽の通報で出動させ、緊迫の場面をネットを通じて生で見て楽しむ悪質ないたずらだ。これまでに400人以上がとばっちりで拘束された。
自宅でゲーム楽しんでたらいきなり重武装の隊員が突入
コロラド州に住むマシューソンさん(23)は部屋でゲームを楽しんでいたところ、なんだか外を人が見回っている気配がした。次の瞬間、銃を構えた男たちが突入してきた。マシューソンさんはたちまち取り押さえられて手錠をかけられ、入念にボディーチェックされた。
「武器はないか」
「持っていませんよ。ゲームをしていただけですよ」
「ん?、どういうことだ」
警察に男が銃を乱射して同僚を殺害したと通報があったという。偽の通報で警察は周りの小中学校を閉鎖し、住民を避難させ、SWATを緊急出動させた。「こんないたずらは許されない。狙撃してしまう可能性もある」と警察関係者はにがりきる。
4日後にはフロリダ州のマイク・ドーレンさん(31)も自宅でゲームに熱中していたら、SWATが突入してきて「オー・マイ・ゴット」
妻を銃で撃ったという通報があったのだ。すぐに偽とわかって連行はされなかったが、一歩間違えれば発砲される可能性もあった。
専用ソフト大量出回り!ハッキングされ難しい摘発
こうしたいたずらは昔もあったが、ネットを通じて見て楽しむようになって、「スワッティング」と呼ばれる。パソコンで対戦ゲームをやると、ネット上に公開される。そこに何者かがSWATを送り込むのだ。
通報の不正利用やパソコンの不正アクセス、テロ犯罪予告罪などに問われるが、専用のソフトが大量に出回っていて、パソコンのハッキングを通じていたずらする場合はなかなか摘発されないという。
笠井信輔デスク「呼び方ができるということは、広がっているということですね。いやあ、ひどいですね」