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名刺も出しにくい現場記者たち…いまや「朝日新聞」最大の危機

   週刊文春の特集の中で気になったのが、朝日新聞の現場の若手たちの声だ。20代社員がこういっている。<「これまでは『朝日新聞です』と自信を持って名刺を出せたけど、今は出しづらい雰囲気」>

   昔、ビートたけし軍団が『フライデー』編集部に乗り込んで傷害事件を起こしたとき、大新聞を先頭に写真誌批判が巻き起こった。その頃、編集部の若手たちがこう嘆いていた。<「取材相手に『フライデー』と名乗れないので、講談社といって会いにいっています。首尾よく会ってくれても、たけし事件やプライバシー侵害について聞かれ、取材になりません」>

   私はほかの部署にいたが、編集部員が自分のところの誌名を名乗れないような雑誌は潰すべきだと社内で主張した。編集部員が自分のやっている雑誌に誇りを持てなくなっては魅力ある誌面づくりなどできようはずはない。毎週10万部単位で部数が落ちていった。

   同じようなことが朝日新聞で起こらないとは限らない。沖縄のサンゴを傷つけて写真を撮った写真部員の不始末の責任を取って当時の一柳東一郎社長は職を辞した。社長が辞めることが最善だとは思わないが、今度のことは木村社長自らが決断してやらせたのではないか。これだけの批判を浴びているのだから、社内メールで戯けたことをほざいていないで、表に出てきて釈明した後、出処進退を潔くするべきだ。

   そうしなければ朝日新聞が今後、NHK批判や安倍首相批判をしても説得力に欠けてしまう。失礼ないい方になるが、これで朝日の人間が何か不祥事でも起こしたら、朝日離れは止めようがなくなるであろう。

   私は週刊文春や週刊新潮の論調にすべて組みするわけではない。だが、今回のことが戦後の朝日新聞の歴史の中で最大の危機だということは間違いない。

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