デング熱の感染者は36人になった。新たに確認された14人は、東京7人、大阪3人、愛媛、山梨、新潟、青森各1人で、大阪、愛媛、山梨、青森在住の感染者が出たのは初めてだ。いずれも8月(2014年)に東京・渋谷の代々木公園やその周辺を訪れていた。最近になって海外に渡航した例もなかった。
代々木公園には8月上旬からウイルス蚊
妙な言い方になるが、デング熱に感染した蚊は代々木公園にいつから何匹ぐらいいたのか。蚊はデング熱に罹った人の血を吸うことで感染し、1週間ほどでウイルスが増殖して別の人の血を吸うことで感染を広げる。刺された人は3~7日の潜伏期間を経て発熱などの症状が出る。
厚生労働省によると、36人のなかで最も早い8月14日に発症したのは都内在住の20歳の女性で、その4日前の10日に公園を訪れ蚊に刺されていた。蚊の体内でデングウイルスが増殖する期間から逆算すると、8月上旬からウイルスを持った蚊が公園にいたことになる。
蚊の生態に詳しい害虫防除技術研究所の白井良和所長はこう解説する。「蚊は産卵のエネルギーを得るために人の血を吸います。普通は1~2回だが、最大4回ぐらい吸うこともあります。吸血して3~4日後に産卵しますが、すぐそのあとでも吸血できて4~5日ごとに産卵を繰り返します」
今回36人が感染したということは、1匹の蚊が4人に4回吸血したとして、単純に計算すると9匹の蚊がいたことになる。その蚊は1日の殺虫剤の散布で駆除できたのか。リポーターの大竹真が、東京都によって公園内の10か所に設置した捕獲器の中を覗いたところ、蚊を含む虫が結構捕獲されていた。
地元に戻って感染拡散
感染症対策アドバイザーの高橋央医師は、「この問題でよく考えないといけないのは、基本的にきのうきょう発症した人ではなく、芋づる式に見つかった人が増えているということです。地元に戻られて周辺で新たな感染が起こっていたらこれは大変です」と危惧する。
司会の加藤浩次「家のベランダに出ても何か嫌な感じがしますよね。過剰反応ですかね」
高橋医師は「ゼロとは言い切れない点が厄介です」といい、国の対策とした次のような指摘をした。「デング熱の検査キットは健康保険が認められていんです。感染を疑われてもすぐ検査する体制になっていません。なるべく早くデング熱のような症状が出た人には健康保険ですぐ検査ができる体制にし、デング熱とわかかったら、蚊に刺されないように隔離する体制を作る必要があります」
高橋医師は「8月のお盆の前は東京は強い風が吹いていました。蚊が公園の外に風に吹き飛ばされた可能性もあることも考えないといけません」