成果主義の弊害―目先の利潤しか追えない社員・組織
国谷「なぜ日本を代表する企業がここまで人材難に追い込まれているのでしょうか」
横浜国立大の服部泰宏准教授はこう解説する。「経営戦略を実践するのも組織力を高めるのも人材です。しかし、バブル崩壊やその後のリーマンショックによって、企業は人材をコストと捉える傾向を強めました。大幅なリストラを断行し、新規採用を控えて非正規雇用の活用を広めて導入したのが成果主義です。
意思決定のスピードを早めるため、人事の評価や組織のあり方を大きく変化させましたが、新規ビジネスをめざしたりグローバル化への対応を急ごうとしている企業にはそれでは間に合わなくなっているのです」
もともと、成果主義は人材を使い潰すだけで、新しい発想が評価されないと批判されていた。その行きついた先がブラック企業で、「人が財産」という日本の経営文化を捨ててしまった企業が人材難に陥っているということだろう。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2014年9月1日放送「シリーズ 成長への人材戦略① どう確保?有望な新卒」)