なお不明者の捜索が続く広島の土石流災害現場はきのう1日(2014年9月)、事故後としては最も強い雨が降った。被災地はたちまち水があふれ、作業も中止せざるをえなくなった。排水機能がまったく働いていないのだ。また、災害発生直前に消防が重要な気象情報ファックスを見落としていたことがわかった。
1時間に70ミリ!ただちに避難勧告・指示の判断情報
ファクックスは8月20日午前1時50分ころ、広島地方気象台から広島市消防局あてで、「予想される1時間降水量は多いところで南部、北部とも70ミリ」としていた。避難勧告、避難指示につながる重要情報だったが、河川の水位情報などが殺到していて、局内にいただれもこれを見ていなかった。
防災アドバイザーの山村武彦氏は「命に関わる情報です。時間雨量70ミリにすぐに何らかの対応をしなければならなかった」という。広島市が避難勧告を出したのはその2時間半後で、その1時間前には土石流が発生して救助を求める通報が殺到していた。つまり、気象通報ファクスから土石流発生までに1時間の余裕があったことになる。
滝澤宏二・消防局長は「見てなかったのはミスです。それは否定するつもりはまったくありません」と語り、松井一実市長は「いかに連携が大事か、身にしみて感じています。いまの作業が落ち着いたところで検証したい」という。
防災情報にファックスを利用している自治体は多い。電話などと違って文字で認識できる、単独の通信回線なので他の影響を受けない、非常電源があるの で停電でも使える―などのメリットが大きいからだ。
むろん、即座に対応していたとしても、雨音で防災無線が聞こえたかどうか。夜中でメールもどれだけ有効だったか。どれだけの人が助かったかはわからないし、逆に被害に遭うケースだって考えられる。が、それでも「もしかしたら」という思いはある。