拍子抜けする「まとも過ぎる結末」ドラマとしてはまとまってはいるが…
ネタバレになってしまうので控えめに記述すると、物語の流れからすれば、環境問題を通して思想を張り巡らし結論にたどり着くというのが正攻法だろう。しかし、スティーヴは非常にプライベートな理由で、自分と農村に対しての解答を見つける。物語の整合性を重んじる方は納得いかない「運び」かもしれないが、非整合性の中にこそ人間は存在しているという現実感は、この物語の主題なのかもしれない。
観客の予想を裏切りながら物語は終盤に向いながら、題名の「約束の地」=アメリカの建国理念に繋がっていく。これでは何とも予想通り、かつ目新しさに欠け、やや説教くさいが、ドラマとしては良くまとまっているという印象はもつ。葛藤するマット・デイモンや農村の人々の「表情」に注目していただきたい。
音録りをしないテイク=役者に表情だけで演技をさせ、編集時に音とつなぎ合わせることによって生まれるガス・ヴァン・サント独特の演出が要所で光っている。
丸輪太郎
おススメ度☆☆☆