「グッド・ウィル・ハンティング」のガス・ヴァン・サント監督とマット・デイモンが再びタッグを組んだ。貧しい田舎町のシェールガスをめぐる物語だ。莫大な利益を生むシェールガスの採掘で農村の貧困を打開しようと目論むエネルギー会社の社員スティーヴ(マット・デイモン)の奮闘と心境変化を描く。
社会派映画に独特の味付けしたガス・ヴァン・サント監督
新たな価値観をその土地に昔から暮らす者は容易には受け入れることはできない。ましてやガス採掘となれば、先祖が守ってきた土地を切開手術をするようなものだ。土地の景観や自然を愛していればなおさらである。だが、貧困のままではいたくない。わが子に立派な教育を受けさせてやりたい親は、ガスの採掘権を売ることによって夢はかなうのだ。
スティーヴが働く「グローバル社」という社名は、明らかにアメリカのグローバル化をもじっており、画一化していく全体主義=アメリカ化と、伝統と習慣を重んじる独立主義の対立構造を描いている。骨組みはガチガチな社会派映画であるが、ガス・ヴァン・サント監督は会社の仕事と住民の「豊かさ」との間で葛藤するスティーヴの心境変化の描き方に独特の味付けをする。