「人手不足で休ませられない」「休むと収入が減る」
なぜ放置されるのか。取材したNHK社会部の板倉浩蔵記者は「『たかが高血圧』と言う会社も少なくなかったですね。健康リスクに対する危機意識が低く、業界内に事故の予兆と捉える意識がないんです」と報告する。
バス業界の高齢化と人手不足も背景にある。バス会社の社長はこう開き直る。「再検査をすすめるような状況にはないですよ。ほんと人手不足で、1人いなくなるとローテーションがガタガタ。ギリギリいっぱいなんですよね」
運転手も健康リスクより乗務手当など収入が減ることを気にして、再検査や治療に消極的だという。「(検査で)なんか引っかかって乗れなくなる、稼げなくなるのが怖いんで。(乗客に)申し訳ないというのもあるけど、やっぱり生活のために働かないと」(高血圧で肥満の運転手)
しかし、バスの暴走で被害を受けるのは乗客だ。体に異常があるのに乗務させたり運転したりしている会社や運転手には、何らかに規制や処罰があってもいいのではないか。
*NHKクローズアップ現代(2014年8月26日放送「突然バスが暴走~見過ごされる運転手のリスク~」)