水産庁はきのう26日(2014年8月)、クロマグロの獲り過ぎを防ぐため未成魚(メジマグロ)の漁獲量に来年度から上限を設け、上限に近づくと警報を発することを決めた。漁業者の全国会議で明らかにした。
メジマグロは京料理などで重宝されるが、マグロ全体の中でのクロマグロの消費量は大きくはない。回遊魚のマグロを日本だけの規制で守れるのかどうか。ことは単純ではない。
歴史的低水準の漁獲量
規制の対象は太平洋クロマグロの体重30キロ未満の未成魚(子ども)。02~04年の平均水揚げ8015トンの半分、4007トンを上限として設定する。回遊ルートと時期から日本周辺を6つに分けて、それぞれに上限を決め、70%で「注意報」、80%で「警報」、90%で「特別警報」、95%で「操業自粛要請」を出す。
現在、クロマグロの漁獲高は80年代半ばの歴史的低水準近くまで落ち込んで、12年は2.6万トンだった。水産庁は規制実施で、今後10年で4.3万トンに増やしたいとしている。理由のひとつが、16年のワシントン条約締約国会議で、クロマグロが絶滅危惧種に指定される可能性があるからだ。指定されれば全面禁漁となる可能性も出てくる。
ただ、消費面からいうと、マグロの総量39万トンのうちクロマグロはわずか5%にすぎない。われわれが普段食べているのは、メバチマグロかキハダマグロだ。その意味では、規制の影響は少ないともいえるが、率先して日本が資源保護に動いていることを他国に知らせる意味は小さくない。
中国、台湾、アジア各国で食べられてしまわないか…
司会の羽鳥慎一「漁獲量はたしかに減ってますよね」
資源量のグラフを見ると、60年がピークで14万トン前後、そこから落ちて70年代前半を底に小さな回復を見せるが、80年代から90年ころまでが最低となる。95年頃に8万トンくらいまで回復するが、その後はどんどん減って現在に至っている。
萩谷順(法政大学法学部教授)「景気が良くなるとマグロを食べるんですね。日本だけでなく、中国、台湾、アジアの国が豊かになっていますから、日本がいくら規制しても、南の海で獲られてしまったら効果が出ません。アジアの国々にも協力してもらわないと」
羽鳥「日本がやれば、周りの国も一緒にと…」
そういう話には耳をかさない国があるのが悩ましいところだ。