九十九里海岸「消滅」の危機!?海水浴場も次々閉鎖―波の浸食で砂浜後退

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   柏木厚志リポーターが夏の終わりの千葉県・九十九里浜海岸にいた。66キロも続く日本有数の砂浜だ。「これまで九十九里には36か所の海水浴場がありました。でも、14か所の海水浴場が閉鎖されました」

   日本全体でもこの10年間で28か所の海水浴場が消えたという。なぜ海水浴場が減っているのか。

幅150メートルの八日市場海水浴場。いまは護岸ブロックだけ

   消えた海水浴場の半分が、実に九十九里海岸だ。地元に住む平山忠雄さんは「海の浸食が激しくて、それまであった砂浜が消えてしまったんです」という。航空写真を見比べると、30年前に賑わっていた八日市場海水浴場(現在の吉崎海岸)は幅約150メートルの砂浜だったが、現在は護岸ブロックだけになってしまっている。砂浜はどこにも見当たらない。

   野手浜海水浴場は砂浜が幅約70メートルにわたって広がっていたが、現在は広い所でも30メートルしかない。堀川浜海水浴場で営業する海の家「さくま」は、夏の書き入れ時だというのに閑散としていた。店主の宇井野辰弘さんは「さくまはかつて砂浜の入り口に建っていました。でも、年々波が侵食してくるため、80メートルほど浜からバックした場所に移しました」と話す。

   柏木「波の浸食で水深が深くなり、ハマグリも激減しました。地引き網も遠浅の海の消滅とともに衰退しています」

各地の消波堤で砂の供給ストップ

   東京大学・海岸沿岸環境研究室・佐藤愼司教授は砂浜消滅の原因をこう解説する。「九十九里浜というのは太東岬と屏風ヶ浦という両側の崖が崩れ、そこの土砂が入ってきてできた浜です。かつては波で両側の崖は年間約70センチ削られ、その砂が九十九里浜に供給されていました」

   ところが、各所に消波堤が造られ、砂の供給がなくなってしまったのだ。

   司会の小倉智昭「九十九里は遠浅の砂浜で人気がありますよね。それが消えてしまうとは、これまで打つ手はなかったんでしょうか」

   デーブ・スペクター(テレビプロデューサー)「ハワイは白い砂浜を重要な観光資源としています。そのために砂を運んでくるんです。日本でも観光資源を生かす方法を考えなくてはダメになるばかりですよね」

   同様のことは、三浦半島の砂浜でも起こっている。

文   ナオジン| 似顔絵 池田マコト
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