西アフリカのエボラ出血熱の感染拡大に、世界保健機関(WHO)も打つ手がない。キャスターの国谷裕子は「エボラ出血熱に対する有効治療はまだ見つかっていません。流行がいつ終息するのか分からないのが現状です。これまでアフリカでは20回以上のエボラ出血熱感染が確認されていますが、今回の流行では死者の数がこれまでにないほどになっています」と伝えた。
国境なき医師団「これ以上他国に拡大したら、私たちは対応できない」
エボラ出血熱に感染しながらも九死に一生を得た女性はこう話す。「心臓に痛みを感じたと思ったら意識が遠くなりました。もう、神に祈ることしかできなかった」
エボラ出血熱がアフリカで確認されたのは1976年だ。それ以降、中央アフリカを中心に感染がたびたび起こっている。中央アフリカでの感染数は多くても200人台だったが、今回はすでに1400人以上となり、このうち225人が医療関係者が感染し、135人が死亡している。国境なき医師団のメイニー・ニコライ氏は「これ以上他の国への感染が拡大したら、私たちは対応できない」という危機感を募らせる。
番組取材班は今月16日(2014年8月)、感染拡大が続くリベリアへ飛んだ。飛行機内ではマスクをした関係者が入念に調べ、街にはいたる所に警戒を呼びかける看板がある。首都モンロビアで最も大きい病院は、院内で医療従事者を含めた感染が広がり閉鎖されていた。
感染症研究で知られるパスツール研究所のベーズ博士は「感染ルートを調べているが、今まで西アフリカでは1度もエボラの流行がなかったため、西アフリカ諸国には備えがなかった」と指摘する。国境なき医師団の医師も「アフリカ特有の地元の熱病と混同されやすく、診断は簡単ではない」と話す。