広島の土砂災害発生から1週間がすぎ、死者は58人となった。行方不明28人の名簿がきのう25日(2014年8月)に広島市から公表されたが、うち20人が安佐南区八木の人たちだった。八木地区を「とくダネ!」が尋ねると、昔の地名は「蛇落地」、激しい水流を描いた絵も残っていた。災害に対する先人の教えはなぜ消えてしまったのか。
地名が変わり忘れられていった先人の教え
崩れ落ちて形が変わった山を眺める住民たちは「20年住んでいますが、こんなことはとても思わなかった」と話す一方で、山肌を指さしながら「あそこが水の通り道だと聞いていましたね」と語る。一帯は「蛇落地悪谷」(じゃらくじあしだに)とよばれていたという。
平野孝太郎さん(71)は「昔は蛇が降るような水害が多かったので、悪い谷・悪谷と名がついたそうです。八木蛇落地悪谷が八木上楽地芦谷と改名され、さらにいまは八木だけが残ったようです」という。名前が変わるうちに「土砂崩れ」の教訓も忘れ去られたらしい。
130年つづく浄楽寺の住職によると、竜がいて、その首をはねたところから「蛇落地」とついたという。「竜は水の神で、水害を収めたということかもしれません。記録にはないが、語り継がれてきました」
近くの光廣神社に残る絵には、竜を討伐した武将のかたわらを激流が走る。こうした伝えは水害への警戒を促すと解釈できる。
川の氾濫避けて山側にベッドタウン
不動産業の男性は、川の堤防決壊で水害に見舞われたことで「川を避けて山側に宅地開発が進んだこと」をあげる。やがてベッドタウン化し、これにますます拍車がかかった。「山から水が出ることはあったかとかもしれませんが、あまり認識されず、山より川の方が怖いと考えられてきました」という。100年以上起きなかった土砂災害より、頻発する川の氾濫を目が向いたともいえる。
司会の小倉智昭「地名にはいわれがありますからね。最近は緑とか幸せとかの明るい地名にします」
梅津弥英子アナ「イメージをよくしたい気持ちも理解できますけど…」
菊川怜キャスターは「不動産価値の問題もありますね」と考え込む。
コメンテーターの中江有里(タレント)「先人の伝えを実感をもってつないでいく難しさ。そこは考えないといけませんね」
安田洋祐(経済学者)の「今回の災害で次の災害を防ぐ方向にいってほしい」という言葉がみなの気持ちを語っていた。