広島市の土砂災害現場の捜索・救助作業は、時折強い雨に見舞われ中断・再開の繰り返しだ。安佐南区緑井8丁目の室屋敏夫さん(83)さん夫婦は自宅を押し流され、妻はその後に救助されたが室屋さんは行方不明だ。
捜索を見守っていた甥の吉川正明さんは「自宅の瓦礫の下か土の中にいるはず。早く出してあげないと、また土石流が来たら姿が見えなくなってしまう」と言葉を詰まらせた。その後、室屋さんの遺体は自宅から数十メートル離れた所から収容された。
11月出産予定の妻
八木地区の湯浅正彦さんの長男夫婦、康弘さん(29)とみなみさん(28)は昨年(2014年8月)10月に結婚したばかりだ。新築アパートで新婚生活を始めたが、さおのアパートが跡形もない。夫婦は行方不明のままである。みなみさんのお腹の中には11月出産予定の赤ちゃんがいた。
司会の小倉智昭は現場で取材に当たっている田中良幸レポーターに「けさ(2014年8月25日)の捜索状況はどうでしょう」と聞く。「警察、消防、自衛隊合わせて3300人体制で捜索にあたっています。けさは自衛隊の重機が山の上の方の現場に向かいました。消防の一部は裾野にあった住宅街で待機していますが、これはこの周辺できのう救助犬がかすかな反応を示したからです。その救助犬はいま山の方にいますが、9時過ぎには戻ってくる予定で、戻り次第救助犬を使った捜索が始まります」
役にたたなかったハザードマップ
小倉「今回は約50か所で大小の土砂崩れや土石流が起きたといわれています」コメンテーターの山本一郎(ブロガー)「自宅がどういう環境にあるのか。周囲の地形がどうなっているのかを知ることが大事ですよね。それをもとに、天候が激変したときの逃げ方を考えておくことが必要なのでしょう」
岡田育(編集者)「自治体などではハザードマップを作り配布していますが、地理的条件を考慮したハザードマップがほとんどありません。土砂崩れが起きたとき、どこが崩れやすい場所なのか、鉄砲水はどこから発生しやすいのかなどを盛り込んだ新しいハザードマップが必要だと思います」
難しいのはハザードマップが想定しているほど切迫した事態なのかどうかの判断だろう。災害を経験していない住民は「大丈夫だろう」と考えがちだ。