広島市の大規模土砂災害でなんとか助かった住人たちの証言は生々しい。的場さんは「1階で寝ていましたが、夜中にド~ンという凄い音がしました。何だろうと窓から外を見ると、うちの前の家が崩れていました。これは危ないと思って2階に逃げました」と話す。
「2階の人が非常用はしごを下ろしてくれました」
田中良幸リポーターが被害が最も大きかった安佐南区八木の山際にある県営住宅の住民の話を聞いた。「それまで聞いた事がない音が聞こえてきたんです。その音は言葉で表現できないぐらいの音。何か変だと逃げました」「異様な臭いがしたね。生臭いような臭いだった」などと話す。
2階に住んでいた菅保美さんは「土砂崩れが起きる数日前に冷蔵庫を買い替えていました。古い冷蔵庫を外の玄関ドアの近くに置いといたんですが、その冷蔵庫が私の部屋に流れ込んできた土砂を弱めてくれました」と間一髪だった様子を語る。
さらに、県営住宅近くのマンション住人の野口友茂さんは恐怖の体験をこう話す。野口氏の居室は1階だった。「私の部屋はそばを流れる川よりも低いところにあったんです。土砂崩れが起きたとき、外を見ると車が何台も流されてきた。どう逃げようかとベランダに出て考えていると、2階の人が非常用のはしごを降ろしてくれたんです。その階段を使って2階から3階、4階まで逃げて難を逃れました」
被災者が被災者を救うという教え
生死を分けたのはなんだったのか。木下幸太郎アナは「災害の犠牲にならないためには、さまざまな対策が議論されていますが、まずは自分の五感を信じることが大切といわれています。たとえば、豪雨が降っているのに川の水位が下がった、異様な臭いがした、木がぶつかり合う音が聞こえたなどです。これらはいずれも異常事態の前兆です。こうした現象を感じたら、すぐに避難したください」と伝える。
コメンテーターの中瀬ゆかり(編集者)「新興住宅街のある造成地周辺の地質など、自然環境がどうなっているのかを住民は忘れがちですよね。その確認をおろそかにしてはいけないと思いました」
笠井信輔デスク「きのう、私は番組の中で生死を分けたのは運だと話しました。でもその後、スタッフから阪神・淡路大震災から始まった『被災者が被災者を救うという教えがある』というアドバイスがありました。その関係は被災者同士の絆です。これを忘れてはいけないと思いました」