玉川徹(テレビ朝日ディレクター)の「そもそも総研たまペディア」コーナーで、ボーリング調査が始まった沖縄・辺野古への米軍普天間基地移転問題を取り上げた。仲井眞知事が埋め立てを承認したのは昨年(2013年)だが、ボーリングを「なぜいま始めたのか」という疑問はある。11月の沖縄知事選をにらんで、沖縄の保守がいま2分しているという。
移設容認の仲井眞弘多知事、反対の翁長雄志・那覇市長…ともに保守系
辺野古沖合のボーリング調査は13隻もの海上保安庁の巡視船に守られて進められている。拡大された立ち入り禁止ラインに船で近づくと、海保のボートが寄ってきて監視に入った。
普天間飛行場の返還で日米が合意してから18年になる。移転先を辺野古とすることで合意したが、反対運動ははげしく、04年の調査は中止に追い込まれている。今回はかなり強硬に見える。11月の知事選は基地問題をめぐる歴史の曲がり角になるともいわれる。
なぜボーリング調査を急ぐのか。沖縄国際大の前泊博盛教授は「選挙までの間に着工して、既成事実化してしまおうとしている」と見る。「もう反対しても 無理だよと、あきらめをねらっているんです。だから知事選が大事。沖縄の人たちはしっかりと自分たちの意志を表明しようとしています」
知事選への出馬を表明しているのは3人。移設容認派の仲井眞弘多知事、移設反対の翁長雄志・那覇市長、国民投票でという下地幹郎氏。焦点は「絶対に辺野古には作らせない」とする翁長氏にどれだけの票が集まるかだ。
ここに変化があると前泊教授はいう。「これまでは保革の対立だったが、今回はアイデンティティー。沖縄は沖縄人が決め、実行すると」
中身は保守が割れてしまったことだと玉川はいう。沖縄の保守は日米安保条約を認めるかどうか。安保条約のためには米軍基地も仕方がないという考えだった。ところが、その保守が割れた。玉川は3人の声を聞いたが、みな保守の人だ。
「沖縄のことは沖縄が決める。カネばらまきの振興策はいらない」
移設反対の「かりゆしグループ」の平良朝敬氏は、工事が強行されれば事態は悪くなるという。「反対運動は過激になり、必ず死者が出る。沖縄人は我慢強いが、爆発すると行動に出る」
同じく反対派の金城徹・那覇市議は自民党員だ。市議会の自民党員は14人中11人が翁長氏支持になった。「なにがなんでも強行というのは非常に危険。もう安保はいらんと火がついたときに、だれも制御しきれなくなると思う」「元は安保から派生する。議論が沸騰した時にだれも止められない」
移設容認派で仲井眞氏支持の自民党沖縄県連の照屋守之・幹事長は「工事を安全に進めていくためには、立ち入り禁止区域の拡大もやむをえない」という。辺野古移設についての世論調査は反対が66%だ。照屋氏も「辺野古より普天間返還だ」
沖縄の保守は、基地負担を我慢する見返りに振興策を得るというセットできた。これに平良氏は「振興策はいらない。あれは振興じゃない。沖縄に言うことを聞かせるためのお金。基地がない方が経済効果は高まると数字で出ています」という。いまでも、沖縄の経済が伸びて、軍関係のウエートが下がっているのだそうだ。
辺野古移設についての世論調査は、反対が66%だ。これに照屋氏は 「辺野古より普天間返還だ」という。
玉川「保守が『自己決定派』と『中央集権派』に別れたんです」
赤江珠緒キャスター「反対派が知事になると変わるのでしょうか」
玉川「知事が反対しているのに政府が強行すれば、世論は沸騰してアメリカにも伝わるだろう。反対派は政府をすっ飛ばして、アメリカに直接言うといっていいます」
たしかに注目の選挙だが、安保体制とはそもそも米軍がいることが前提だ。いなくなった後のことを考えていないのが気になる。