広島市で起った土石流は、きょう21日(2014年8月)朝までに死者39人を確認、さらに7人が不明という大惨事になった。市郊外の丘陵地帯を切り開いた住宅地はもともと危険とされていた地区で、発生した土石流は23か所、崖崩れなども含め、市が作成したハザードマップの予測とぴったり一致していた。
家屋のみこんだ高さ1メートル以上の泥
とにかくすさまじい破壊力だ。安佐南区の土石流発生現場はいたるところにバラバラになった家屋の残骸がひっかかり、泥と岩石で埋まった道路は流された車で埋まっていた。家屋をのみこんだ泥濘の深さは1メートル以上もある。何もなくなってひらけた泥の真ん中に、3、4メートル角はありそうな巨大な花崗岩が残されていた。
そんな中で、不明者の捜索は自衛隊、警察、消防の手で徹夜で続けられた。裏山からの土砂にのまれた幼い兄弟、1人暮らしの高齢の女性、消防隊員にも犠牲が出た。53歳の隊員は土石流に破壊された家から3歳の子どもを抱きかかえて避難する途中、新たな土石流に飲み込まれた。
捜索はこの日も早朝から行われたが、そのさなか、閉じ込められていた住宅から女性や老人が救出されていた。泥に囲まれて外へ出られなかった人たちだ。中継の途中で、流されてきた屋根の中から人が救出される場面もあった。
1999年にも土砂災害で死者31人
被害がかくも大きくなった原因の第1は雨量だ。広島では1999年6月にも土砂災害で31人の死者を出している。この惨事を機に災害対策が進んだはずだったが、このときの雨量は24時間で255ミリだ。しかし、20日未明の雨量は3時間で217ミリ、8月の1か月平均の1.5倍近い凄まじい降りだった。広島の背後の丘陵地帯は花崗岩とまさ土とよばれる砂地がほとんどで、雨にはもともと弱い。そこへこの雨量だ。危険箇所数で日本一だった一帯はひとたまりもなかった。
少し離れた国道沿いでは雨はろくに降っていなかったという異常な降り方だった。元気象庁長官の山本孝二氏は「局地的な短時間予測はむずかしい」という。広島市が避難勧告を出したのは土石流発生の1時間後だった。市の担当者は「判断ミス」と謝罪していたが、それ以前に、市民がそうした情報システムをほとんど知らなかったことも明らかになった。
避難所で聞いた限りでは、ハザードマップを知らないという市民が結構いた。市からの情報や避難勧告はメールや防災行政無線でも伝えられるのだが、これは希望者だけ。他はスピーカー放送で知るしかないが、「あの雨では聞こえないと思う」という。
宮田佳代子(キャスター)「住宅を買うとき、ハザードマップをどれだけ意識していたかですよね。業者は地価が下がるから教えないのではないでしょうか」
司会の羽鳥慎一「知り合いもこのあたりは土地が弱いといっていました」
赤江珠緒キャスター「中国山地は古い地層ですからね」
阪神大震災の後も断層の地番・住所は相場に影響するからと公表しなかった。台風や前線はそれよりずっといい加減だと思うのだが…。