1999年にも土砂災害で死者31人
被害がかくも大きくなった原因の第1は雨量だ。広島では1999年6月にも土砂災害で31人の死者を出している。この惨事を機に災害対策が進んだはずだったが、このときの雨量は24時間で255ミリだ。しかし、20日未明の雨量は3時間で217ミリ、8月の1か月平均の1.5倍近い凄まじい降りだった。広島の背後の丘陵地帯は花崗岩とまさ土とよばれる砂地がほとんどで、雨にはもともと弱い。そこへこの雨量だ。危険箇所数で日本一だった一帯はひとたまりもなかった。
少し離れた国道沿いでは雨はろくに降っていなかったという異常な降り方だった。元気象庁長官の山本孝二氏は「局地的な短時間予測はむずかしい」という。広島市が避難勧告を出したのは土石流発生の1時間後だった。市の担当者は「判断ミス」と謝罪していたが、それ以前に、市民がそうした情報システムをほとんど知らなかったことも明らかになった。
避難所で聞いた限りでは、ハザードマップを知らないという市民が結構いた。市からの情報や避難勧告はメールや防災行政無線でも伝えられるのだが、これは希望者だけ。他はスピーカー放送で知るしかないが、「あの雨では聞こえないと思う」という。
宮田佳代子(キャスター)「住宅を買うとき、ハザードマップをどれだけ意識していたかですよね。業者は地価が下がるから教えないのではないでしょうか」
司会の羽鳥慎一「知り合いもこのあたりは土地が弱いといっていました」
赤江珠緒キャスター「中国山地は古い地層ですからね」
阪神大震災の後も断層の地番・住所は相場に影響するからと公表しなかった。台風や前線はそれよりずっといい加減だと思うのだが…。