大規模土砂災害に襲われた広島市北西部はもろくて崩れやすい地質で、15年前にもほぼ同じ地域で土砂崩れで32人の死者・行方不明者を出した。花崗岩が風化してできた「真砂土」といわれる地表に大量の雨が降ったことが引き金になった。
「土砂災害警戒情報」出たときはすでに胸まで泥水
雨が降り始めたのは19日(2014年8月)午後7時ごろで、気象予報士の資格を持つ広島工業大環境学部の田中健路准教授によると、太平洋高気圧のふちにそって吹く暖湿流が山にあたって積乱雲の発生を繰り返し、大量の雨をもたらす降水帯が線上に細長くできるバックビルディング型の降水帯ができていたという。
気象庁が大雨洪水警報を出したのは午後9時26分だったが、広島市がこの時点で避難準備の呼びかけを行っていれば様子は違っていたかもしれないが、対策は行われなかった。翌20日午前1時15分に気象庁が土砂災害警戒情報を出したが、この時点ですでに泥水が胸のあたりまで来て避難するのは危険な状態だったという。
その2時間後の午前3時20分ごろ同時多発的に土砂崩れが発生した。市が避難勧告を出したのはさらに1時間遅れの午前4時15分だった。田中准教授は「もろくて崩れやすい真砂土に大量の雨が降って徐々に土の中に浸透し表層崩壊が起きた」とみている。
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モンブラン| 似顔絵 池田マコト