「きのう(2014年8月20日)の未明に、ドーンとそれまで聞いた事がない轟音が聞こえました。何だろうと外を見ると土石流が押し寄せてきた」
「土の臭いが突然したんです。外を見ると、大量の土砂が流れていた」
広島市の安佐南区と安佐北区を土石流が襲った瞬間を住民はこう語る。この地区はもともと地盤が弱いと指摘されていたが、それは「まさ土」という地盤だった。まさ土とはどんなものなのか。
サラサラで水含みやすく濁流化
地質を研究している東京農工大の石川芳治教授は「まさ土とは花崗岩が風化してできた土で、サラサラとした感じになって、雨が降ると水を含み崩れやすくなります」と説明する。
スタジオのゲスト、東京大の太田猛彦名誉教授に司会の小倉智昭が「花崗岩は地質のどの程度まで覆っているのでしょうか」と聞く。「かなり深いところまで花崗岩があります。この花崗岩が風化してまさ土となるわけですが、その中には大きな岩も含まれています。このまさ土が表層崩壊して土石流化するわけです」
小倉「表層崩壊はどのような場所で起こりやすいのでしょうか」
太田教授「山の窪地や川の上流の沢などです。表層崩壊が始まり、岩も含んだ土石流となると、沢や川の両岸をえぐって下流へと流れます。下へ流れるほど多くの水を含み、下流の樹木を巻き込んで大規模土砂災害となります」
森本さやかリポーターは「このまさ土による危険地帯と思われる場所は、広島県内だけでも3万2000か所あるといわれています」と説明した。太田教授は「多くの被災された方はまさか山が崩れるとは…と話しているようですが、山は崩れるものです。その時のための警戒や準備が必要です」
広島市の土石流は崖が土砂崩れを起こしたのではなく、山が崩れたということなのか―。
文
ナオジン| 似顔絵 池田マコト