広島市の土砂災害現場に井上貴博アナがいた。発生から1日以上がたつが、「現段階でも(被害の)全体像が見えてきません」と伝える。
山肌を切り裂くように土石流の跡が残り、いまだに流れ出た水が住宅街の中をはする。おびただしい数の流木、いたるところで車が泥に埋まり、バイクほどの岩が転がっている。
警察・消防・自衛隊2000人―重機使えず手作業で救出
住民は「雨も雷もすごく、きのうは午前2時ごろから眠れなかった」「避難勧告が遅すぎた。朝に出されてもどうしようもない」と話し、「こんなことになるとは」と声を詰まらす年配女性もいた。
警察、消防、自衛隊は2000人態勢で夜通し救出作業を続けたが、現場に重機を入れられないので専ら人海戦術だ。
井上アナ「山のどこから崩れたかもわからない状態です。自衛隊の人もどこまで行けるかわからないと言っていました。街は今でも流木のこすれた臭いがします」
取材キャスターの奥平邦彦はヘリで上空700メートルから「家と家の間にも土砂が入り込んでいます」「全半壊した家がそこかしこに流れ着いています」と伝える。上空映像で見える町は一面が茶色い泥水につかった状態だ。
きょう21日(2014年8月)午前7時ごろからの打ち合わせで、重機を2か所で投入できる可能性が出てきた。指揮所近くの井上アナは「重機が動き出しました。空に太陽が顔を見せ、泥水が乾き始めて砂になり砂煙が舞います」と報告する。
井上が現場に来て感じたことを3つあげた。山を切り開く住宅造成のあり方、未明で外が暗い中での雨と雷に人がどんな行動をとれるか、ここでは災害が起きないだろうという住民の認識。「他人ごとではないと強く思いました。そのことと一人一人が向き合って咀嚼しないと…」