今度は広島だ。まさに「やられた」という感じ。昨夜19日(2014年)からきょう20日未明にかけて広島地方が猛烈な雨に襲われ、市内で1時間に46.5ミリ、場所によっては99.5ミリを記録した。安佐南区の山沿いの住宅街で各所で土砂崩れが発生して、これまでに7人が死亡、不明十数人の被害が出ている。
「ゴーッという音で外に出たら土砂がマンションの下まで…」
安佐南区の住宅街は小高い山の南斜面を開発した比較的新しい地域で、しゃれた集合住宅や1戸建て住宅がびっしりと並ぶ。それを何か所もの土砂の流れが断ち切っていて、川のようにみえるが、普段は道だったり庭だったりしたところだろう。
土砂が直撃した家屋は吹っ飛び、傾き、屋根やカベがはがれた無惨な姿をさらしている。泥濘の中を腰までつかって進む救助隊員がみえる。人が集まっているのは不明者の捜索だ。2階の窓から取材のヘリに手ぬぐいを降っている姿もある。泥に閉じ込められて動けないのだ。
同じ場所でも、土砂の直撃を免れた家は無傷で、電気、ガスも電話もいつも通りにつながっていて、「モーニングバード!」の取材に住民が答えたりしている。「夜10時くらいから雷と雨がすごかったです。午前3時くらいにゴーッという音で外に出たら、土砂がマンションの下まできていました」
夜が明けると、山沿いの住宅がみごとになくなっていた。別の住人は「これまで崩れたことがないところだ」と話す。
たった3時間で1か月半分の雨量
なぜこんなに雨が降ったのか。気象解説では、日本海に前線があって、南から吹き込む風が中国山地にぶつかって雨をもたらしたらしい。雨雲の動きを解析すると、広島の一部に強い雨域が長時間続いていた。広島市安佐北区三入で3時間で204.0ミリを記録した。8月の平均雨量は143ミリだから、たった3時間でひと月分の1.5倍近くが降ったことになる。安佐南区では午前3時までの1時間に87ミリ、午前4時までの2時間で166ミリを観測した。
日付が変わる頃に土砂災害警戒情報、午前4時前に短時間大雨情報も出されたが、深夜で伝わらなかったうえ、すでに土砂崩れが発生していた。
司会の羽鳥慎一「もともと川がなかったら、住民も危ないという考えがなかったかもしれませんね」
このところの雨では、「いままで経験したことがない」というのを何度聞いたことか。九州各地、四国、京都…とにかく降り方がおかしい。「偏西風が蛇行している」なんて解説は慰めにもならない。