愛媛・伊予市で17歳の少女が暴行死した事件で4人が逮捕されたが、少女は還らない。付近住民や当事者からも市、児童相談所、警察に再三懸念や訴えが出されていたのに深く突っ込まなかった。児童相談所は何のためにあるかがまたもや問われている。
家族が「行方不明届」出してもまだ動かず…
17歳の少女は母子5人が住むマンションの一室に半年前から同居していた。遺体が見つかったのは15日(2014年8月)。ひどい暴行を受けていたのはあきらかで、全身に皮下出血があり、古いものもあった。母親(36)、長男の少年(16)、16歳と18歳の少年の計4人が逮捕された。
少女は中学までは普通の女の子だった。高校に入ってから何かが変わったらしい。登校をやめてしまい、中学の同級生には「家庭内のトラブル」といっていたという。少女は事件のあったマンションの一室を居場所にしたらしい。少女の松山市内の自宅からは車で30分ほどの距離だ。
しかし、この部屋は長男、長女の友人のたまり場のようになっていて、夜中に大声を出したりベランダで花火をしたり、バイクを乗り入れたりして、住民から伊予市に苦情がよせられていた。
少女の暴行も目撃され、悲鳴もたびたび聞こえていたため、7月には住民が市の職員に「このままでは殺される」と訴えたが、市は警察に通報もしなかった。暴行を目撃した団地住民から警察へ通報もあり、警察官が駆けつけたが、少女はいなかった。この家の長女が6月に伊予署に「少女とケンカした」と訴え、少女からも事情を聞いたが、警察は事件にしなかった。
これより前に、少女の家族は児童相談所に家出について相談をしていたが、「警察へいった方がいい」といわれたという。そして、7月末から少女の姿が見えなくなり、家族は松山東署に行方不明届けを出したが、その連絡が伊予署に行っていたかどうかはわからない。どこも自分の仕事だとは思っていないかのようだ。児童相談所の会見がそうした空気を如実に伝えていた。
「亡くなった方には申しわけないが、自分の意志でお友だちのところに行っていると理解していたから」
「でも、未成年じゃないですか」「保護者が連れ戻しにいったときに同行しなかったのか」「事情はまた聞きか」などの質問が飛んだが、まともな答えは返ってこない。
児童相談所には「緊急一時保護」の施設や権限
司会の羽鳥慎一「近所の人が『最近見ないから殺されてるんじゃないか』というのは相当なことですよ」
石原良純(タレント)「児童相談所、市、警察の関係がどうなっていたのか。異常な空気感がありますよね」
教育評論家の水谷修氏は「児童相談所は緊急に一時保護をすべきだったと思います。相談所には保護する場所も、権限もあります。緊急一時保護も警察通報もあったはず」
赤江珠緒キャスター「10代だから意志があるということなんですが…」
水谷「意志も何も、17歳までは家にいるのが当たり前。『殺されるかもしれない』と聞いたら110番でしょう。命を何だと思ってるのか」
羽鳥「なんでやらないんですか。めんどくさいとか?」
水谷「お役所ですから管轄がある。縦割りです」
青木理(ジャーナリスト)「児童福祉法は虐待を知ったら通報を義務づけています」
水谷「危機意識のなさですね。この子に対する先入観があったのかどうかわからないが、一時保護さえしていれば、この子は生きていました」
石原「見つけたら何をすればいいんでしょうか」
水谷「110番です。警察から児童相談所へ連絡がいくとか、連携が進んでいるところもあります」
羽鳥「今回事件では相当なサインが出ていた。なのに動かなかった」
水谷「ひどいです。犯罪ものです」
青木「厚木の幼児死亡でもあったように、児童相談所とはなにかを考える必要があるんでしょうね」
システムはあっても、人間がその気になっていないとこうなるという見本か。