13日(2014年8月)にスイス・グリゾン州で起きたレーティッシュ鉄道の事故は、重軽傷11人を出したが死者はなかった。状況が明らかになってみると、 よくまあそれだけで済んだといえるほどのきわどいものだった。救ったのは樹林だった。
かろうじて樹木に引っかかった奇跡
事故当時は強い雨が降っており、8両編成の先頭の電気機関車が通過したところを土砂が襲った。土砂は機関車の後部に当たったが、重量があるためか押し流されず、2両目の客車が谷に落ちた。線路は谷底から60~70メートルの高さにあるが、車両は10メートルほど落ちたところで木にひっかかって止まった。樹木がなければそのまま落ちて大惨事になっていただろう。さらに幸運なことに、後続車両は引きずられずに土砂に乗り上げて止まっていた。落ちた土砂の量も少なかったようだ。
140人の乗客のうち11人が重軽傷を負い、うち日本人は5人。横浜在住の70代の男性が腰の骨を折る重傷を負った。死者が出なかったことに鉄道会社は「列車には守護の天使が一緒に乗っていたんでしょう」と話している。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト