「夏休みを利用して海外旅行を計画して代金も払ったのに航空券が届かない」
国民生活センターにこうした相談が7月(2014年)に殺到した。東京・新宿の旅行会社「レックスロード」を警視庁は13日(2014年8月)、旅行業法違反(無登録営業)の疑いで家宅捜索し、社長は丸岡寿らを詐欺容疑で捜査を進めている。被害総額は5158万円にのぼる。
100万円も払い込んだのにチケットが届かない!会社はもぬけの殻
被害にあった20代の女性は家族3人で英国ロンドンに観光旅行をする計画を立て、リクルートの海外旅行検索サイト「エイビーロード」にアクセスし、比較的安いレックスロードを選んで代金99万7500円を支払った。ところが、いっこうに航空券が届かない。調べたところ騙されたと分かった。「もうチケットは取れないですし、ロンドンは諦めました。夏休みは返って来るわけではないので怒りしかないですね」と憤懣やるかたない様子だ。
「レックスロード」と同じビルの中で働いている男性が「おかしな会社だ」と気付いたのは7月9日という。「ビルの前で涙を拭いている女性がいたので、『どうしたの?』と聞くと、『あす外国に行くのに切符がない。切符を購入した会社もない』と聞かされた。その後、次々と被害者が訪れた」
この男性の話では、一番古手の女性スタッフが3月に辞め、2人の女性社員が残った。6月中旬にこの2人も辞めて、入れ替わりにアルバイトらしい女性が入ってきた。7月8日、その女性と社長が大量のゴミを出したのを最後にもぬけの殻になったという。
観光立国政策が泣く「旅行会社チェックの手立てない日本」
レックスロードが旅行業の登録を受けたのは1998年で、5年ごとに更新手続きを行うことになっているが、その期限だった昨年10月に更新手続きを行わなかった。12月に再登録したものの、今年1月には廃業届を提出している。ところが、その後も営業を続けていたのだ。
国は観光立国を標榜しているが、実は外国人観光客にお金を落としてもらうだけが目的。旅行を計画しても、安心できる旅行会社かどうかを簡単に調べる手立てはない。他社より安い価格には何か落とし穴があると疑ってかかり敬遠するしかないのが現状だ。
安心できる旅行代理店かどうかを利用者が確認する手立ては、観光庁長官または都道府県知事の発行した登録番号しかない。しかし、この登録番号を確認できるのはその会社のホームページしかないというのもおかしい。
取材したリポーターの阿部祐二「更新まで5年もあるのはおかしいですよ。変化が激しいので1年ごとにすべきだと思いますね」
おおたわ史絵(内科医)「観光庁や自治体のホームページで登録の有無を確認できるようにすべきですよ」
レックスロードを検索サイトに掲載していたエイビロードが被害額の全額を払い戻しに応じているのがせめてもの救いか。