万引き被害にあった店が防犯カメラに写った犯人の顔写真にモザイクをかけてホームページに掲載し、1週間以内に商品を返さなければ「モザイクをはずす」と警告した。これには「勇気ある決断」と評価する声の一方で、「やりすぎだ」という声も出た。さらに、法的にも「脅迫になる」「犯人にも人権が」とかしましい。きょう12日(2014年8月)がその1週間目だ。さあどうなるか。
万引き被害で潰れる店!売り上げの5%もやられてしまう
万引きがあったのは、アニメグッズ、古いオモチャなどのチェーン店「まんだらけ」の中野店で、8月4日午後5時ころ「鉄人28号No.3 ゼンマイ歩行」(野村トーイ製・25万円)が盗まれた。店の警告は、この際の防犯カメラの画像をもとに出された。
万引きにはいま換金目的のプロと呼ばれる連中がいて、店側は相当悩まされている。「鉄人28号」は人気で、箱をつけて30万円というから相当なものだ。ある店では「そういう高価なものを盗まれたらもの凄い痛手」という。
同じようにホームページで訴えている店は他にもあった。ある衣料品店は子どもに人気の「妖怪ウォッチ」のメダルなどを母親が盗んでいるのを目撃したが、逃げられた。そこで、防犯カメラで確認して載せたという。これにも賛否両論がよせられたそうだ。
しかし、この店の経営者は「万引き率は1~3%、多いところは5%ですから大きいですよ」という。売り上げ1億円なら300~500万円という被害だ。 店によっては、ネットではなく店頭に写真を掲げるところもあるという。
司会の羽鳥慎一「店の存亡にかかわるところもあるでしょうね」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)本屋さんなんかね。ただでさえ経営が大変なのに、ホントに困ってますよ。だから、『やりすぎじゃないか』といわれると驚いてしまう。だったらいきなり出した方が良かったのかなどと考えてしまいますね」
リポーターの所太郎は「まんだらけの万引きは出来心ではない、かなり悪質なものとして防犯効果を考えて出した結論」という。
盗んだものを返しにきたら恐喝罪、モザイク外すと名誉棄損
羽鳥「気持ちはわかるという人は多いと思いますが、ことは単純じゃないんですよね」
赤江珠緒キャスター「写真公開はどこまで認められるんですか」
弁護士の田中喜代重氏はこう解説する。「法治主義国家としては『公開』はかなり難しいですね。人権がからんできます。いまの段階では、形式的には脅迫とか恐喝の未遂になります。モノが返ってくると恐喝の既遂。モザイクを外すと、これに名誉毀損やプライバシー侵害がつきます」
羽鳥「窃盗犯なんですよね」
田中「店の方には違和感があるでしょうが、犯人のほうにも守られるべき人権があります。法治国家なので、自力救済行為やリンチは禁止されています。名誉毀損で訴えられると多分負ける」
高木美保(タレント)「田中先生までが憎らしくなってくる」(爆笑)
田中「国が万引きを抑えられないのに、自力救済行為に文句いえるのかというのもあるでしょうね」
羽鳥「犯人がこれを見てたら、よーしモザイク外せと思ってるんじゃないかな」
田中氏によると、万引きの検挙率は2割とか3割。盗まれたものはほとんど返ってこない。だから、やられた側が「完全に救済されることはない」という。
岩上安身(ジャーナリスト)「国がやってくれるから自分でやっちゃいけないというのが建前。でも、国はなにもやってくれない、警察は動かないとなると、名誉毀損のリスクを押してもやろうという人は出てきますよ」
舘野「何もしなかったら抑止力にもならない」
その期限はきょうだ。夜までの間になにかがあるのだろうか。話はあすに続きそうだ。