タイ・バンコクのマンションで9人の乳幼児が見つかった問題で、すべて代理母に生ませたという渦中の日本人男性が7日未明(2014年8月)、マカオに向けタイを出国していることが分かった。地元警察は人身売買の疑いで捜査しており、国外逃亡したとみているようだ。
対人代理母「63万円で引き受けた」
事件が発覚したのは、乳幼児が頻繁に出入りするのを不審に思った近隣住民からの通報だった。警察が5日に日本人男性が所有する高級マンションを家宅捜索し、部屋にいた乳幼児9人とベビーシッター9人、それに妊娠6か月の代理母とみられるタイ人女性1人を保護した。
警察の調べによると、乳幼児は生後2か月~2歳で、男の子6人、女の子3人。年齢から推測して9人の乳幼児はそれぞれ別の代理母らしい。ベビーシッターの一人は、男性の秘書と称する日本人女性(27)で、「乳幼児の1人は自分が産んだ。日本に連れて帰るのでここに来た」と話しているという。また、代理母とみられるタイ人の妊婦は「20万バーツ(約63万円)の報酬で代理母になった」と話している。
代理出産を依頼したという日本人男性とはどんな男なのか。24歳と若く、タイの弁護士は香港を中心に不動産などへの投資をしている裕福なビジネスマンで、「将来、子どもたちに事業を継がせるために育てていて、タイ国籍が欲しいと話している」という。と説明している。タイにはこの2年間に65回も入国している。男性は「9人の子どもは全部が自分の子どもで、代理母に産ませた」と語っている。
代理出産は日本では原則禁止だがタイで問題ないのか。タイの法律に詳しい関西大学の西澤希久男教授は「タイには代理出産に関する法律がなく、違法なのか合法なのか判断できません。ただ、代理懐胎をする女性は夫婦どちらかが血縁上の親戚である必要があります。代理母が血縁上の親戚でない場合は、医師会のガイドラインに違反した状態になります」と指摘する。
タイで増えてる臓器目的の人身売買
地元警察では人身売買の疑いがあると見て捜査中で、「子どもの出生に関する証拠がまだ集まっていない。本当に日本人男性が父親なのか。今後、DNS鑑定を行う」という。
タイの人身売買は、スマトラ島沖地震で親を亡くした子どもが増えたのをきっかけに広がっている。とくに臓器売買を目的にしたケースが目立つという。
司会の加藤浩次は「24歳でもう複数の後継者を考えるって、ちょっと早い感じがする」と訝った。弁護士の菊池幸夫も「2歳の乳幼児を後継者にするにはあと20年かかる。ちょっと空虚な理由づけだなと感じますね。タイは豊かな国への人身売買の送り出し国になっていて、警察がにらんでいる通り、人身売買の可能性があるのかなという気がします」と疑った。