あけすけでちょいエロ、でも古来女子とはロマンティック脳と現実主義が入り混じる理不尽な生き物なのです。そんな事実を再確認できる「これぞ深夜ドラマ!」というわけです。なんといっても、主人公のアラサーちゃんを演じるのは壇蜜で、その設定はというと、モテと自我の間で立ち位置を決めかねている30歳、巨乳。もうこれだけでちょっと可愛い。
わきを固めるキャラクターも、オラオラくん(イケイケのベンチャー社長)、大衆くん(日本人男子のいらっとする部分を集めた凡人代表)、文系くん(もやしで根暗なサブカル系男子)、ゆるふわちゃん(モテのためなら己を捨てるカマトト女子)、ヤリリンちゃん(いろいろゆるいDQN系キャバ嬢)と、ひたすら濃い。学生時代に同じクラスになっても絶対に気が合わなかったメンツなのだろうけれど、つるんでみると意外としっくりくるんだよね。うーん、大人になったって気がするね。
カマトト女子に「みひろ」これまたぴったり
アラサーちゃんは、元カレで現セフレのオラオラくんから誘われ、数合わせの合コンに参加する。そこに集ったのが上記の5人。アラサーちゃんは文系くんにひとめぼれするが、文系君くんはゆるふわちゃんに夢中だ。あざとさを隠さないどころか、これでもかとモテテクを繰り出すゆるふわちゃん役に元AV女優だというみひろがぴったりはまっている。
座敷なのに、居酒屋なのに、すなわちパンツ見えそうなのに、ワインとかカクテルとかこぼされる可能性も高いのに、Aラインの白レースふわふわミニワンピできゃっきゃとはしゃぐゆるふわちゃん。ここまで徹底して女子ウケを排除し、男子ウケに傾倒しているともはや清々しい。生き様としては大好き。実生活でいたら反応に困ること請け合いなんだけど、何事もやりきるってことが大切なのです。
でも、この手の女子は周囲に「ぶりっこ」と陰口をたたかれても意に介さない。それどころか、「素でやってるのにぶりっこ扱いされちゃう」と第三の男に相談してその男を落とすくらいは朝飯前。ついでに、ぶりっこと言われていても、俄然「カワイイは正義」なのも知っているもんだから、普段の態度も改めない。陰でいろいろ言っていても、なんだかんだ1対1になると、可愛いぶりっこには「ずるい、あざとい、でもいい」と甘くなるのが男子の性ってもんです。
キンコメ今野浩喜うまい!「中の下」男子のウザさ
合コンでトイレに行くのは席替えのチャンス。男の中のJIS規格ではツルツルしていればすべてシルクなど、ちょいちょい挟み込まれる名言風クイズもちょうどいい軽さになっている。建物セットはいっさいなしで、可愛いジオラマで「居酒屋にて」「ラブホにて」と場面転換をはかっちゃうチープさも、原作漫画のポップ感を醸している。ちょっと濡れ場が多い(というか長い)気もしないでもないけれど、これをがっつりやるための深夜帯だしねぇ。録画で見ると、訳もなくどきまぎするのは注意点かもしれません。
しかし、大衆くんを映像化しても、あの絶妙なウザさを出すのって難しいよなぁ、なんて思ってたんだけど、おみそれしました。キングオブコメディの今野浩喜よ、君こそが平均的いらっとする「中の下」男子代表だ。原作漫画の雰囲気がきっちり再現されているので、コミックから入った派にもおすすめできる一作でした。(金曜深夜0時52分)
(ばんぶぅ)