社会・家族・男女関係の変化についていけず…
横浜市立大の田中冨久子名誉教授は「男らしさなどの価値観は20歳ころに定着します。以後の更新はむずかしい」という。だから、男女の役割が多様化した現実に適応するには、幼い頃から教え込まないといけないのだと話す。
伊藤公雄・京都大大学院教授はこう解説する。「社会も家族も変化しているのに、男はかくあるべしから抜け出せないでいるんです。人に話すと弱音を吐いたとみられるから、妻にもいわないとか。相談窓口は相談してもいいんだよと知らせることで、男性を変えないといけない」
作家の赤坂真理さんは「女性が求める男性像はコロコロ変わるんです」と笑う。「草食男子でも、いざ作りあげてみたら、あれっ、違うぞと。でも、男はすぐには変われない。聞いてあげることも大事ですよ。発見がある」
いま劇団ハイバイの「おとこたち」(脚本・演出岩井秀人)という舞台が話題だという。「生きづらい」男たちの群像劇らしい。観客の男性が「身につまされた」「打ちのめされた感じ」「あれを見てとみんなにいいたい」と語る。だが、どうも乗り気になれない。パロディーにもならないのではないかと嫌な予感がする。古い世代から見ると、男たちが弱くなったように見えてしかたがない。
*NHKクローズアップ現代(2014年7月31日放送「男はつらいよ2014 1000人『心の声』」)