劇場の大スクリーン、高音質スピーカーで見てほしい
1998年にハリウッドで製作されたローランド・エメリッヒ版「GODZILLA」は、ゴジラのキャラクター性がオリジナルと大きく逸脱していたため多くのゴジラファンを失望させた。それに比べ、ギャレス・エドワーズ版は製作者たちのゴジラ愛が溢れた、ファンも納得の作品といえるだろう。
ゴジラが放射能による怪物であるというルーツを明確に示すなど、1954年のオリジナル版「ゴジラ」に回帰しながら、現代社会が抱える原発問題にも果敢に切り込み、新たなゴジラ像作りに挑戦している。
ゴジラは最新鋭のCGによって描かれているが、モーションキャプチャーを採用し、ゴジラのリアルな動きも再現。変な言い方になるが、ここでいうリアルというのは、ゴジラ映画らしい「着ぐるみ」感だ。やはり、ゴジラは中に人が入っているような動きをして欲しいし、その着ぐるみ感を出してこそ怪獣映画なのだ。
また、人間の目から見た巨大怪獣を映すことにこだわり、ゴジラの全体像をなかなか映さないという演出は臨場感を与えていた。音響マンの傑作と言われるゴジラの咆哮は、全体像が見えないからこそ、そして敵なのか味方なのか分からないからこそ恐怖を越えて畏怖の念をも抱かせる。人間ドラマという点でみれば細かい設定に強引さは見受けられるが、ゴジラとムートーの戦いはそれを補うだけの力強さがある。絶対に劇場の大スクリーン、高音質スピーカーでの鑑賞をおススメする!
野崎芳史
おススメ度☆☆☆☆