中国ドラッグ新たなターゲット「薬物防止策手薄の日本」毒性強めて荒稼ぎ

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   脱法ハーブから「危険ドラッグ」。警察も言い方をかえ警鐘を打ち鳴らしているが、手を替え品を替え毒性を強め出回っている実態に歯止めはかかるのか。薬物中毒の治療現場では新たな危険ドラッグによって命を奪われる患者も出現しており、医師は「得体の知れない毒を自ら体内に入れて危険な人体実験をしているのと同じだ」と危惧する。

   厚労省の研究班の調査では、危険ドラッグ経験者は推定で40万人と見られている。国は1300種以上を指定薬物とし規制を強化しているが、その網をかいくぐって作られる新たなドラッグは、命を奪いかねない毒性の強いものになっている。

科学知識持った専門家が「新ドラッグ」開発

   全国で危険ドラッグが原因とみられる車の事故が相次ぎ、7月(2014年)までに11件、37人が事故の巻き添えになり死傷した。なぜ急に増えたのか。警察では今年に入ってより強い成分が含まれる危険ドラッグが出回るようになったことが原因とみている。

   6月24日、東京・池袋駅西口の繁華街で危険ドラッグを吸引した直後に車を暴走させて8人が死傷した事件では、男が所持していたのは出回り始めたばかりのドラッグだった。分析の結果、検出されたのは合成カンナビノイドといわれる化学物質の一種だった。国は昨年2月、同じ基本構造を持つドラッグを一斉に指定薬物にしたが、池袋で使われたドラッグは基本構造の一部が異なっていたため、規制の対象とはならなかった。

   国立精神・神経医療研究センター依存性薬物研究室の船田正彦室長はこう指摘する。「おそらくわが国における薬物の規制状況を把握した上で、規制をかいくぐる新たなドラッグを次々と作り流通させているのでしょう。化学知識を持った人物が関わっている可能性が極めて高いですね」

   怖いのは規制をかいくぐった毒性の強いドラッグを知らずに使い、命を落とすケースが出てきたことだ。長年、薬物依存症の治療医あたってきた埼玉県立精神医療センターの成瀬鴨也副院長は、「規制の網を潜り抜けるたびに、アメーバ―のように非常に強力で危険な物に変貌している」という。

   その例として、危険ドラッグ使っていた30代男性の血液検査を行ったところ、筋肉の細胞が壊れるときに出る酵素の量を示す数値が32万8200という異常値を示した。正常値は高くて200程度だ。横紋筋融解症と呼ばれる症状で、強い薬物を摂取すると全身の筋肉に負担がかかって細胞が破壊され、放っておくと腎不全などで死に至る。実際、昨年8月には危険ドラッグを使い続けていた30代の男性が死亡している。成瀬副院長は「これまで人間が使ったこともない、動物実験もされていないような物質がいま入ってきているんです。得体の知れない毒を体内に入れているのが実態で、軽い気持ちで手を出すものでは絶対にない」と強調している。

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