女性都議にセクハラ野次を浴びせ当初シラを切ったものの、その後一転、謝罪会見で野次を認めた鈴木章浩都議(自民党を離党し無所属)に、今度は政治資金収支報告に疑惑をもたれている。
1700万円の支出すべて5万円以下の小口?報告書記載も領収書もなし
【疑惑その1】都議の収支報告書は都庁のホームページに表示されているが、鈴木都議が代表を務める政治団体「自民党東京都大田区第21支部(会計責任者・涌井慶治)」の2012年収支報告書の組織活動費の内訳をみると、福祉に使ったとされる1695万417円の中身はまったくの白紙、記載ゼロだった。その前年も組織活動費895万6951円を支出しているが、やはり白紙だった。
5万円を超える支出には、収支報告書への記載と領収書の添付が義務づけられている。つまり、鈴木都議は12年に行った組織活動に関わる約1700万円はすべて5万円未満の小口の支出だったことになる。その小口の数は笠井信輔アナの計算では340回とか。
そんなことあり得るのか。音喜多駿都議(みんなの党)は「組織活動費は施設の利用料とか、地域の会合に出た時の参加料とか、小口の交通費といったものがあてられることが多いんです。普通に活動していれば白紙はなかなか考えられない」という。
全国市民オブズマン連絡会議幹事の清水勉弁護士は、「これを見る限りでは、政治活動をまったくやっていませんということを説明してしまっている」と厳しい指摘をする。
自分に寄付して所得税逃れ?
【疑惑その2】自分で自分に多額の寄付をしていた。12年の収支報告書の中で政治団体向け寄付金の詳細を見ると、記載されていたのは「鈴木章浩 748万9695円 平成24年12月28日」、前年も「鈴木章浩 325万3783円 平成23年12月30日」だった。
清水弁護士は「収入は政治活動として使うので寄付する必要はないはず」と訝る。では、この不可解な寄付の目的はなんなのか。清水弁護士は「あえてこの年末時期にこの金額を入れるのは税金逃れでは」と指摘する。
個人が政党に寄付を行う場合、一定割合で寄付金控除の対象になり、所得税が還付される。鈴木都議は税逃れのため寄付金の制度を悪用した可能性があるというわけだ。
これらの疑惑にについて31日(2014年7月)、鈴木都議の説明を聞きたいと森本さやかリポーターが事務所や自宅を訪れたが、応答なしだった。
司会の小倉智昭「こちらが野次りたくなりますよね。『早く説明したほうがいいんじゃないか』ってね」。
不正だとしたら、記載ゼロとか自分への寄付とか、少しは細工しろといいたくなるようなまるで子ども騙しのような手口だ。都民を甘く見て、どうせ収支報告書など見ていないし、分かりはしないと高をくくっているのだろうか。