司会の夏目三久がいきなり「LINEの乗っ取り詐欺を防ぐ方法をお教えします」という。何のことかと思ったら、個人データの流出によるアカウントの「乗っ取り」「なりすまし」が「あさチャン!」スタッフにまで及んで、体験に基づく防犯講座というわけだ。
ヘンな日本語メール「ポインソカード」「ンユビニ」
LINE乗っ取り詐欺とは、流出したメールアドレスとパスワードを使って「本人」になりすまし、LINE上の知人に「電子マネー」を代わりに買ってくれと頼む手口だ。「本人」だと思って言われた通りにすると、電子マネーをかすめ取られ、請求だけが回ってくる。
「あさチャン!」のスタッフも、知人からLINEで「コンビニでitunesを1万円分を3枚買ってきていただけますか」と頼まれた。仕事上の付き合いだけの人だったので変だなと気付き、「いいよ」と誘いに乗ってみせることにした。プリペイドカードを購入するとシリアルナンバーがついている。乗っ取り犯はこのナンバーを写真で送信させて、カードの金額を手にできる。スタッフは「パスワードってなに? わからないよ」などととぼけてやり取りを続けていたら、連絡が途絶えたという。
乗っ取られた人から30人以上に勝手にメッセージが送られていた。当人は「みんな私だと思ってやり取りしているのを想像しただけで怒り がこみあげてくる」という。メッセージはこの人の妻にも送られ、妻は3万円分を購入していたが、電話連絡で食い止めたという。
その際のやり取りを点検すると、ある特徴があった。たとえば、「ポインソカード」とか「ンユビニ行て」とか日本語がおかしいのだ。専門家は「例文を見て手で打ち込んでいる。そんなに日本語の能力が高くない人」と見る。「中国語圏の、日本ではない場所でアルバイトを雇って詐欺のメッセージを送っている」ということのようだ。
セキュリティー対策「PINコード」知ってる?面倒な設定
LINE社は新たなセキュリティー対策として、「PINコード」を導入して、本人確認に新たに4ケタの暗証番号を設定するようにした。しかし、PINコードは初期設定では電話番号の末尾4ケタの数字になっているため、ユーザーが個別に変更しなければならない。流出データに電話番号が含まれていると、PINコードに気づかなければ簡単に破られてしまう。街で聞いても、PINコードを知っている人はほとんどいなかったし、設定の方法も知らなかった。実際、PINコード以後でも乗っ取りは続いているという。
乗っ取られたTBS社員は「あなたのLINEは乗っ取られたようですよ」と警告されたが、「ではどうしたらいいかが、わかりにくかった」という。山本匠晃アナが対処の仕方を画面を追って見せたのだが、なるほどわかりにくい。慣れている若者ならともかく、やっとスマホを使っている年寄りにはまず無理だ。
夏目「使ってる人でも知らないという人が大勢いました。『PINコード変えた?』と声をかけるのが一番かもしれませんね」
やれやれ、便利なものには落とし穴がつきものか。難儀なことだ。