月500時間労働、2週間帰れなかった、24時間勤務も…牛丼チェーン「すき家」の過酷な労働実態が明らかになった。会見したゼンショーHDの小川賢太郎社長は、「ブラックではないか?」という問いに、「レッテル貼りは不本意だ」とムキになったが、「ホントにわかってるのか?」と聞き返したくなった。
大量の退職者とアルバイト不足から、一時200店舗以上が閉店する事態になっている「すき家」について、第三者委員会がきのう31日(2014年7月)に報告書を出した。社員、バイト1000人以上にアンケートした結果で、まあ聞きしにまさる実態だった。
労基署「是正勧告」1年に13件!ワンオペなど違法状態
残業時間は「過労死ライン」とされる月100時間を超え、労働基準監督署からの是正勧告が13年度だけで49回。この年の退職者数は177人で、新規採用数を上回っていた。報告書は「法令違反状態」と指摘、深夜帯などに店を1人で切り盛りする「ワンオペ」の解消を強く勧告した。「社長と議論できる人材がいない」と問題の根も指摘していた。
こうした事態を招いたのは、人出不足を承知で新規出店を続けていった結果だが、経営陣は「かつてはそうして業績を伸ばした」と突っ張ってきたらしい。その結果、過労による交通事故、1人勤務を強盗にねらわれるなどのトラブルにも見舞われた。
とくに2月から始めた「牛すき鍋定食」は客には好評だったが、調理に手間がかかるため仕事量が増え退職者が続出した。24時間勤務を「1回転」と呼び、「2回転」まであったという。また、「ワンオペ」では、清掃、接客、調理を1人でやるため、衛生面やサービスの問題もあった。
従業員集まらず店舗閉鎖―経営者として失格
TBSの牧嶋博子解説委員は「度が過ぎているし、労基法違反だし、過労死の基準も超えている。すでに大学生は小売外食を避け始めているから、 ますます人が来ない。閉店する事態は経営的にもリスクですよ。辞めた人たちの行方次第では日本の損失にもなる。労働者を守るところまで経営者は自覚してほしいですね」という。
キャスターの齋藤孝「情報はネットですぐ流れますから」
井上貴博アナ「雇われる側が変わってきています。ブラック的な企業がなくなっていけばいいのですが…」
「自分も500時間働いてきた」という根性論には驚く。「時代の空気が読めていない」といわれても仕方あるまい。店を閉めざるを得ないなんて、経営者としてはこの上ない大失態ではないか。