「同級生殺害」加害女生徒は発達障害?知識面は高校生でも情緒的には小学生以下

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問題行動知っても手をこまぬいていた両親

「父親はA子の母親の死後すぐに婚活パーティに参加するなどしていた。そうして知り合ったのが、現在の再婚相手。継母は三十過ぎで、亡くなった奥さんと比べるとかなり派手目な女性。慶應大出身で、東京で見つけてきたそうです。
   喪も開けないうちから次の女を見つけてきた父親のことを、A子はどうしても許せなかったのでしょう。再婚が決まった時に、A子は金属バットで父親に殴りかかり、重傷を負わせたこともあったそうです」

   長崎県佐世保市で再び同級生が女子生徒を殺す事件が起こった。小6の女子生徒が同級生を殺害し、世を震撼させたのは10年前のことだったが、今回の殺害の手口は女子高生とは思えない残忍なものである。

   殺されたのは松尾愛和さん(15)。A子は『週刊新潮』が15歳、『週刊文春』が16歳としている。この1歳の違いは今後A子を裁く上で大きい。現行の少年法では、16歳を過ぎれば、家庭裁判所の判断で大人と同じ刑事裁判にまわされることがあり、大人と同じように傍聴人のいる法廷で裁判され、有罪判決を受けると刑務所(少年刑務所)に入れられことがある。朝日新聞は逮捕時15歳、現在は16歳と報じているから、事件後に16歳になったようだ。

   先のコメントは週刊文春でA子の父親をよく知る男性のものだが、父親の早すぎる再婚が事件に落とした陰は深いようである。父親は地元では有名な弁護士で、「ジャパネットたかた」の顧問弁護士もしていたと週刊新潮が報じている。また週刊文春によれば、「宅地面積は約八十坪。地上二階、地下一階の鉄筋コンクリート造りの建物は、延べ床面積が三百平方メートルを超えるお屋敷」だそうだ。

   母親も東大を出て地元放送局に勤めていた才媛だったという。その後、市の教育委員を務めたり、女性と育児に関するNPOを立ち上げたりしていたが、昨年(2013年)、膵臓がんを発症してあっという間に亡くなってしまった。母親の喪も開けないうちから婚活に励み、再婚した父親のことをA子は英語の弁論大会で「マイ・ファーザー・イズ・エイリアン」といって会場中を驚かせたという。

   父親が再婚する直前にA子は家を出て一人暮らしを始める。彼女は両親の才能を受け継いだのか成績はトップクラスで、小学校時代に公言していた夢は「検事」になることだった。その理由を週刊文春は「刑事事件の法廷で父と対峙することを想像していたのだろうか」と書いている。ピアノや絵もうまく、父親に勧められて始めたスケートで父親と一緒に全国大会に出場したこともある。

   だが、A子は小6の時、虐められた腹いせに、相手の給食に漂白剤と洗剤を混ぜ合わせた液体を入れて大きな問題になったことがある。だが、このことはそれ以上は広がらず、まもなく沈静化したという。両親が地元の有力者だったため、もみ消したのではないかと見る向きもあるようだ。

   また、週刊新潮で社会部デスクが、<「Aには、小学生の頃から、猫を殺して解剖したり、家出したりといった問題行動があった。Aの母親はそのことに胸を痛めていた」>と話しているが、もしそうだとしたら、神戸で起きた酒薔薇聖斗事件でも、14歳の少年が祖母を亡くした後、猫を解体するようになったことが報じられている。

酒薔薇聖斗事件といくつもの共通点

   殺された愛和さんの父親は佐世保の第13護衛隊に属する護衛艦「さわぎり」の乗務員。小さい子の面倒見がよく、書道は最高位の十段だったという。

   お嬢さん育ちと公務員の子供という違いはあったが、仲はよかったようだ。週刊新潮でタクシー運転手がこう話している。<「テレビで愛和さんの顔写真を見て思い出したんだけど、春頃に犯行現場のマンション近くの公園で彼女をよく見かけました。ショートヘアの同い年ぐらいの娘さんと2人で本当に仲良さそうにくっついているんです。愛和さんがひざ枕をしたり、ハグしたり『密着』というのでしょうか」>

   A子はボーイッシュなショートカットだった。仲良しの友だちを家に呼び込み、平然と用意していたハンマーで殺してノコギリで首と左手首を切断してしまう。動機を警察に聞かれてA子は「人を殺してみたかった。解体してみたかった」と話しているという。

   週刊新潮で東工大の影山任佐名誉教授(犯罪心理学)はA子をこう分析している。<「私はこの事件を見て、少女Aは発達障害ではないかと疑っています。たとえば、2000年に17歳の高校生が起こした愛知県豊川市の主婦殺害事件では、動機が『殺してみたかったから』というもの。知識の面では高校生レベルでも、情緒的には小学生以下のレベルなのが特徴です。そして、少女Aで注目されるのが、小6のときに起こした異物混入事件です。誰が見てもイタズラの範疇を超えているのに、本人にはその自覚がない。もっと早くにそのサインに気がついて、自分のやったことに向き合わせるべきでした」>

   酒薔薇聖斗事件のときも、母親は教育には熱心なのに、子供の異常行動に気付いていても見て見ぬふりをしていたと報じられている。まして自分の婚活に頭がいっぱいだったA子の父親に、娘の異常行動などわかろうはずがない。

   佐世保市では10年前の事件以降、「命を大切にする教育」を徹底してきたという。しかし、同じような事件が起こってしまったいま、やるべきは、この事件がどうして起きてしまったのかを徹底的に調べて情報公開していくことである。それを全国の子を持つ親たちが共有し、自分の子供を見つめ直すことでしか、こうした犯罪の抑止にはならないはずである。

『中国』食品不正やったもの勝ち?不正暴かれてもたちまち営業再開

   今週のもう一つの話題は、日本マクドナルドやファミリーマーケットで販売されていた中国輸入のチキンナゲットなどが期限切れだったことが発覚した「事件」である。

   発覚したきっかけは中国の上海テレビ局「東方衛視」のスタッフが2か月にわたり「上海福喜食品」の潜入取材を行って、食品工場の不衛生な実態や期限切れの肉などを使用していた実態を暴いたことからである。どういうきっかけでそうした取材を行ったのか詳細はわからないが、中国メディアもなかなかやるではないか。

   だが、週刊文春は、小誌は昨年4月発売で「マクドナルドの中国産鶏肉が危ない!」と報じていたと鼻高々である。自慢話はさておいて、ここのいいところは現地取材をきっちりやるところである。今回も問題の「上海福喜食品」の現役従業員にインタビューしこういわせている。

<「床に落ちた肉を拾うのはそもそも工場のルールなんです。機械を回しながら肉を投入するのでどうしても床に落ちてしまう、だから設置された青いプラスチックの容器に拾って入れなさい、と。容器がいっぱいになったら肉を回収し、『菌敵』という細菌殺菌薬二百倍に薄めた溶液で洗浄する。仕上げに度数七〇%のアルコールでさらに消毒し、再利用するんです」>

   この人物がいうには、昔はさすがに米国系企業という感じで、調味料は輸入品だったが、4、5年前から工場の様子がおかしくなってきたという。さらに2010年の上海万博が開催され、ファーストフード向けの鶏肉が足りなくなったとき、こういうことをやったという。

<「どこからか、ものすごい異臭を放つ二十トンぐらいの腐った手羽先の山が工場に運び込まれてきました。その手羽先に業務用スプレーで菌敵の溶液を吹き付けて消毒してから、利用しました」>

   この国に企業倫理などという言葉は辞書にないのであろう。さらに悪いのは、こうした不正を暴かれ指弾されても、それで潰れることはないのだそうだ。ここ数年で潰れたのはメラミン混入粉ミルク事件で乳幼児に死者を出した三鹿集団だけで、後は問題処理が終われば営業を再開しているという。今回の「上海福喜食品」も、一定期間の営業停止と罰金だけで終わるのではないかと、中国の食品安全検査官がいっている。

   これでは食の安全など保証されるはずがない。ましてや日中関係は最悪なのだ。「どうせ自分の食べるものではない。日本人が食べるんだ」と発がん性のある農薬や着色料を混入させた食品を輸出しているのではと、疑心暗鬼になろうというものである。

   週刊文春に「我が身を守るためには、中国産を避けた方がいいことは間違いない」といわれても、居酒屋の焼き鳥や定食屋のチキンソテーが大好きな身には、なるべく食べる量を少なくしようとするしか対策はないのである。

反日反中のあおり?「どうせ日本人が食べるんだ」何入れられるかわからないぞ

   私事で恐縮だが、某夜、都内にある肉の販売チェーン店で、安いステーキ肉を食べ比べてみようとアメリカ産とオーストラリア産、国産黒毛和牛をそれぞれ300グラムほど買い込んだ。

   私は肉がそれほど好きではないこともありよく知らないのだが、肉の消費期限は1週間や10日はあるだろうと思って見てみると、安いということもあるのだろうか、意外に短く、早いもので翌日、ほとんどが2、3日後である。

   最初にアメリカ産を食べようと、フライパンで焼き始めた。食べるならステーキはレアが好きなので、レアでと思ったが、待てよ、安い肉はよく焼かないと危ないのではと思い直し、レアを諦めてウエルダンに変更。ニンニクを炒めたものと合わせて食べたが、部位にもよるが、アメリカ産はやや臭いが気になった。オーストラリア産はまずまず。国産は他に比べると肉の味がややわかる程度。

   アメリカでマーケットで肉を買ってバーベキューをしたことが何度もあるが、これと同程度の値段でそれなりに美味しい肉が手に入る。嫌ないい方になるが、中国だけではなく、どこの国でも地元の人たちが食べる食材と輸出するものでは、やや違いがあるのではないだろうか。

   食糧自給率が4割を切る日本は、食料を輸入する相手国との関係を良好にしておかないと、どんなものを送られてくるかわからない不安が常にある。週刊文春が何度も警告しているように、輸入食品を検査する日本側の態勢は貧弱で、とてもすべてを検査して安全なものだけを入れるということは不可能である。そうした食料の安全保障という意味でも、中国との関係改善は喫緊の課題であることは間違いない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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