今月8日(2014年7月)、イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区への空爆と地上作戦を開始した。これまでに犠牲者は1000人を超え、約17万人が家を追われ、避難所には人があふれている。イスラエルの攻撃に対しては、「国際社会の批判が高まっている」(国谷裕子キャスター)とされるが、イスラエル国内では圧倒的な支持を得ているという。
強い国民の危機感!イスラム原理主義組織ハマスに国を滅ぼされる
イスラエル軍の志願兵で、ガザに派遣された婚約者を持つ女性、シリ・パズさんは言う。「私たちの生活はいつも不安でいっぱいです。ハマスがイスラエルを攻撃して、この世から消し去ると言うのですから、戦うしかありません」
シリ・パズさんは戦闘を支持する集会に参加する。グループの仲間は停戦を呼びかける平和集会に現れて、「テロリストに死を!」「屈するな!」などと叫び言い争いになった。「テロリストとの戦争に反対するなんて信じられません。国の危機に直面するいま、私たちは団結しなければならない」とシリ・パズさんは話す。
パレスチナ問題に詳しい防衛大学校の立山良司名誉教授は、イスラエル国内の支持の理由として、ガザを実行支配するイスラム原理主義組織ハマスのロケット弾の脅威が拡大し、国民の不安が強まっていることがあるという。ハマスのロケットの射程距離はここ数年で2倍近くの160キロに伸びたと説明する。
立山「毎日130~150発のロケットがイスラエルに飛び、テルアビブやエルサレムといった主要都市まで飛んでくる」
ネタニヤフ・イスラエル首相が率いる政権の主体はタカ派、右派で、ガザに対する軍事攻撃を求める圧力が強いことや、国内の右傾化、宗教的なナショナリズムの拡大によって、「タカ派の声が大きくなっている」とも指摘した。
*NHKクローズアップ現代(2014年7月29日放送「深まる断絶 ガザ戦闘の行方」)