「人を殺してみたかった。遺体を解剖してみたかった」
佐世保市で同級生を殺害した高校1年の女子生徒(16)は捜査員にこう話しているという。死因はひもで首を絞められたことによる窒息死だが、首と左手首が切断されていたほか、他に多くの切り傷があった。遺体は腹部が大きく切り開かれていたという報道もある。
殺害された松尾愛和さん(15)は1週間前に母親に「女子生徒の家に遊びに行く」と伝えていた。女子生徒は事前に市内の量販店で凶器となった特殊な工具を購入したらしい。ハンマーは450グラムもある外壁を壊すのに使う石頭ハンマーとボルトの緩みを調べる先のとがったテストハンマー、ノコギリは刃渡り25センチのスレートを切る特殊なものだった。
ピアノコンクールでも入賞
加害女子生徒はどんな子どもだったのか。地元で有名な名士の一家に生まれ、県内有数の中高一貫校に進学、女子生徒を知る人は「目標は東大って聞いていた」という。学業だけでなく、スポーツは長崎県代表として全国大会に出場、美術展では最優秀賞、ピアノコンクールでも入賞するという幅広い才能の持ち主だ。
ところが、異常な行動もあった。4年前の小学校6年生の時だ。市教育関係者によると、女子生徒が給食時に味噌汁に漂白剤を入れ、複数の子どもが嘔吐する事件があった。この時は母親が保護者に土下座して詫びたために大きな問題にならなかったが、父親は「学校や教育現場の管理が悪いからこういう問題が出たのではないか」と学校側に反発したという。女生徒には小動物を解剖する問題行動もあったという。この教育関係者は「この時きちっと対処していれば今回の事件は起こらなかったかもしれない」と悔やんでいる。
ショック大きかった?母親死去直後に父親の再婚
優れた才能の半面、深い闇の部分を持つ女子生徒に変化が起きたのは、高校へ進学した今年4月(2014年)だったようだ。母親をがんで亡くしたあと、父親が再婚した。再婚に女子生徒は反対で、父親が所有していたマンションのワンルームで独り暮らしを始める。
実家の近くの住民は「奥さんが亡くなられて1年もたたないうちに若い人と結婚、二人で手をつないで楽しそうに歩いていましたね。多感なお嬢さんがいらっしゃるのに、お嬢さんが可哀そうだった」と話す。結局、女子生徒はこの9月に海外留学を目指すということで、高校を進学しても3日間しか登校していなかった。
司会の小倉智昭「素晴らしい才能を持っていたどこかで、ちょっと歯車が狂ってしまったとしか考えられない」
安田洋祐(大阪大経済学部准教授)は「殺害された子は女子生徒が3日間しか登校していないのを心配して遊びに行くことにしたのでしょうね」と悔やむ。
女子生徒の身柄は28日に検察に送られたが、このあと家庭裁判所で精神鑑定を受け、責任能力の有無を調べられる。責任能力があると判定されれば検察に逆送され、起訴となれば裁判員裁判を受けることになる。